2017-10

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映画「この世界の片隅に」

DSC_0796c.jpgアニメ映画「この世界の片隅に」を見た.第二種電気工事士試験を小倉で受験*し,そのあと駅から近い「小倉昭和館」で鑑賞.古い,席数の多いホールだが,かなりの入りで,50人ぐらいは入っていたように思う.

昭和10年ころからの広島と呉を舞台に,一人の女性をその家族・友人の暮らしとともに描く.戦中の空襲,原爆そして戦後数年まで.原作はコミック.とても素晴らしい作品で超おすすめ.

最近のアニメでは「君の名は」も見たが,あまりピンと来なかった.それと違って,分かりやすく,“メッセージ”もはっきりしている.(“メッセージ”と言っても全部言葉に置き換えられるわけではないし,もしそうなら映画にする必要もない.)

以下,その感想など.ネタバレも含まれるので,これから鑑賞する予定の人は読まないで下さい.
DSC_0795.jpg最初は地味な絵柄だと思ったが,だんだん引き込まれて行く.少女が一人の女性に成長していく姿が,生活の丁寧な描写で物語られていく.

舞台にされた土地の設定から当然予想されたが,原爆は大きな位置を占める.しかし原爆ををこのように描いた作品には初めて接した.主人公すずたちが暮らす呉市の山沿いの民家,家の中にまで一瞬の閃光が.「かみなり?」.数十秒経って強烈な空振.瓦がずれ落ちる.外にいた家族が,広島の上空の異様な雲に気付く.見上げると・・・.

そのまえの,空襲のシーンもリアルだ.決して過去のことではなく,シリアで,イラクで,多くの人々がまさにこのような状況下で暮らしていることに思いが行かざるを得ない.

原爆の後,広島に「里帰り」した主人公が,焼け跡で孤児に出会う.握り飯を渡すが,置いてきぼりにするわけには行かず.連れて帰る.まるで,人間の子どもが捨て猫,捨て犬のようにされる戦争.

もしこの映画がアメリカで広く上映されれば,戦争とは何か,原爆とは何かについての,まともな理解が広がるだろうと思う.

作品の描く時代より少し前,ワシントン海軍軍縮条約(1921〜22)で軍艦の隻数が制限され,そのため呉の造船所の仕事が減り,失業者が出たことを「悲劇」として会話する主人公たち.このように,民衆が軍拡を支持する(支持せざるを得ない仕組み)状況も描かれる.そして,造船所も栄え雇用も得られたその結果が自分たちに降り注ぐ砲弾と焼夷弾の雨だった.このような状況は今も全く変わらず,軍事産業そのものが戦争の主要な原動力の一つだ.

敗戦を知り,すずが「暴力に負けたのは悔しい」と叫ぶが,日本自身が中国はじめアジアで振るった暴力については知る由もない.これからもし九条改憲が実現し日本が本格的に戦争に加わることになれば,昔ほどの情報遮断はないにしても,どのくらい人々は真実に近づくことができるのだろうか?
(画像は映画のパンフレットから)

2016年11月12日公開 ロングラン中.
上記館は8/4まで.シアター・シエマは8/5から.
------
* 試験とその結果については,またいずれ.

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