2017-04

沖縄における市民的不服従と警察官,知事の責任

警官によるデモという「実績」
一つ前の「北九州で警官がデモ」の記事では,警官が主導するデモという珍しいイベントの写真を紹介した.暴力団事務所に対する示威行動なので,なーんだと思われたかも知れないが,しかし「デモ」という形態を取ったのは珍しいのかも知れない.その名目はともかく,これを主催した福岡県警と違って,沖縄県警の警察官たちは,市民と一緒に暴力追放=海兵隊追放に取り組むのではなく,むしろ逆に市民の行動を規制している.たびたびの市民の基地ゲートの封鎖行動に対し,これを支援するのではなく,妨害しているのだ.

直接行動の合法性
沖縄の米軍基地は,日本政府がどのような法律で正当化しようとも(法の上下関係から考えれば)違法なものだ.基地の取得と占有の根拠という点だけでなく,世界中への米軍の違法行為の根拠地になっているという点でも,二重の意味で違法である.したがって,もし穏便な方法でこれを撤去する見込みがないとき(まさに現状がそうだが),直接行動で,つまり「市民的不服従」(civil disobedience)の行使によって,撤去することが正当化される.法律用語では「違法性阻却事由」と呼ばれるものだろう.

「市民的不服従」に市民権を
沖縄県警が下位の法律や命令を盾に市民の行動を取り締まるならば,市民の側としては逮捕覚悟で行動せざるを得ない.もし抗議者の数が多く世論の支持も強ければ,警察も簡単には逮捕できないが,しかし準備は必要である.イギリスなど直接行動の「先進国」では逮捕の経験も広く共有されており[0],市民運動の側も「慣れて」いるが,日本の場合は,まさに沖縄での先進的な実践例はあるとは言え,これから開拓すべき戦術分野である.定年退職者のような自由人で,家族環境などが恵まれていれば,数日ないし数週間の留置場生活も悪くはない.重い刑罰が課される恐れがある場合は十分な覚悟と準備が必要なことはもちろんだ.罰金刑の場合,英国では罰金を支払う代わりに一定期間の禁固刑か社会奉仕が選択できるようで,反核運動家はたいていこの手段で罰金を回避するようだ.わが国の場合,このような事が可能か,また禁固の期間がどのくらいかなど,研究が必要だ.

警察官と知事の義務
「取り締まる」側の警察官個人の倫理問題と行動の可能性も広く検討の対象とすべきだ.初めに述べたように,市民の正当な直接行動を妨害するのは不当であるので,上司の命令であっても本来はこれを拒否しなければならない(組織上の不服従[1]).しかしこれは警察官個人にとっては処分を覚悟しなければならず極めて困難な行動である.では,処分をするのは誰かを考えてみると,事実上は警察庁の官僚組織がその権限を窃取しているのだろうが,しかし法律上は県警を支配するのは県知事である[2].したがって,そのような処分の最高責任者としての知事の権限と行動にスポットライトを当てることが出来る.つまり市民は知事に対し,みずからが「所轄」する公安委員会に対して処分をさせないように働きかける(命令する?)よう要請出来るはずだ.

つまり,「市民的不服従」,警察官の「組織上の不服従」,そして知事の警察への管轄権の追及という三位一体の取り組みは,基地問題の解決へのひとつの糸口になるのではないだろうか.


[0] 先日の長崎での原水禁の分科会2で,ドイツ緑の党のイエンス・ケンツィア氏は,直接行動による「逮捕」が運動をメディアに露出させる上で有用である,というようなことを述べていた.
[1] 原語は"organizational disobedience".次の本にこの言葉がある.科学技術者に関するものだが,すべての職業に共通する.
C.E. Harris, Jr. ほか,科学技術者の倫理,丸善,2002
関連ブログ記事:
http://pegasus1.blog.so-net.ne.jp/2013-04-17#orgdisob

[2] 警察庁サイトの「警察のしくみ」のページ参照.
http://www.npa.go.jp/koho1/sikumi.htm

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