2017-04

教基法破壊を具現化する学習指導要領案

文部科学省が学習指導要領などを改訂するための,法律で定められた意見公募,いわゆる「パブリック・コメント」募集を行っている.

公募公示
 http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/20/02/08021505.htm
意見募集中案件詳細(上からリンクされている)

上記2ページから必要な文書等にはすべてリンクされている.

まず,期限の設定の仕方が行政手続法で決められた最低限の30日(締め切りが3月16日,今度の日曜)になっており,非常に短い.1ヵ月というのは,そのような公募が行われているということの周知期間という程度の長さである.このような全国民的な重要問題に対してこの期間では,「意見公募」は単なるアリバイ作りとしか思えない*.とは言ってもこれを無視することはできない.(これに対抗する強力な他の手段があれば別であるが.)

批判的意見の多さということが,今後の展開における足がかりになると思われるので,多数の投稿が必要だと思われる.特に教育学部系の方々の責任,貢献は重要だろう.個人だけでなく,諸団体や,関係する教授会も同様である.(法人,団体も意見公募の対象)

一昨年の暮れに,戦後日本の貴重な財産である教育基本法が,極右的,国家主義的イデオロギーで汚染されたが,今回の指導要領改定案はそれを実体化する重要なステップの一つで,これに無反応では話にならない.教基法をめぐる闘いは終わっていないどころか,これこそが「実戦」である.そしてこれは同時に憲法をめぐる闘いでもある.

指導要領案をざっと眺めてみたが,それこそ,内容も文章作法上も,「突っ込みどころ満載」のようだ.私自身も期限内に意見を送るつもりだが,とりあえずそのためのメモを取っておく.

パブリックコメントのための覚え書き

(1)「学習指導要領」を制定することの違憲性,違法性
文部科学省の権限
文部科学省設置法第三条では,文科省の任務は,教育の振興と人材の育成などと抽象的であるが,同法四条が規定する「所掌事務」では,提案されている学習指導要領のように教育内容を規制する権限は明文的には認められていない.おそらく同条の九の「初等中等教育の基準の設定に関すること」を根拠としたいのであろうが,「基準の設定」という表現はきわめて一般的で,外形的なことに関する基準を超えて教育内容の基準まで設定する権限があるとは言えない.

初等中等教育といえどもその教育内容には最新の学問研究の成果が反映されなければならず,また教育は学問の再生産のプロセスでもある.そしてその学問に関しては,憲法二三条で「学問の自由は、これを保障する」としている.これは,国家が教育内容にみだりに介入することは憲法上許されないことを意味する.

したがって,法規としての拘束力を持たせる意図で作られる「指導要領」に教育内容に関する事項を含ませることは,違憲・違法であり,そもそもこの提案自体を撤回すべきである.もちろん現行の「指導要領」も撤廃すべきである.

実際的な面でも,これまでの「指導要領」が子どもの学力を低下させる原因となるなど,その害悪が明白となっている.その愚を繰り返すことは止めなければならない.教育内容に関しては,法制上の本来のあり方に,つまり教師,父母,そしてそれぞれの教育委員会に任せるべきである.何らかの全国的な基準が必要だとしても,それは,これらの人々や団体の協議によって作られるべきだ.文科省はそのための会議室を提供するだけでよい.

(2)改悪教基法の違憲条項に連動する部分
改悪教基法第二条の五:
「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに・・・」
これは,たとえば小学校学習指導要領の社会の第6学年の「目標」の部分に,「我が国の歴史や伝統を大切にし,国を愛する心情を育てるようにする」と引き写されている.

何を愛し愛しないかは個人の問題であり,個人の幸福追求の範疇である.これに国家が介入することは,憲法13条に違反する.

(以下,もう少し追加の予定.)
-------------
* 公募は個人だけでなく団体も対象になっているが,構成員が数人の団体ならいざ知らず,組合や専門家集団が団体として意見をまとめようとすれば,少なくとも数ヶ月は必要だろう.

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