2017-07

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一方的賃下げ(ボーナスカット)に抵抗しない組合を批判する一組合員の意見

来週早々にもある国立大学の教職員組合のメディアで公表されるテキストを入手しましたので,一足先に当ブログで紹介します.
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われわれの懐から抜き取られる1億円は何に使われるのか?
これに抵抗しないことは教育上好ましいのか?


(S大学教職員組合のメディアで公表予定.2009.6.26)
                 平賀源外(理工学部組合員)

 この夏一人当たり10万円前後の金がわれわれの懐から「大学」に移転される.大学側が一方的にボーナスの減額を決めたからだ.これに対して組合は,「不同意」と言いながらこれを直ちに止めるための有効な手だて・行動を取ろうとしない.これでは組合は,職員の利益・権利の擁護という,その最も根本的な機能,「本分」を果たしていないことが明らかになってしまう.組合員を増やすどころか,組合員にさえ見捨てられかねない.相当な金額の組合費を払いながら,それに対してミニマムな「メリット」すらないのだから.

 このような一方的な賃下げ(ボーナスカット)がされようとするとき,世界の常識はストライキを含む,法的に認められた最大限の抵抗でこれを止めさせようとすることだろう.わが組合も,この「常識」に沿った対応を取るべきである.

 そのような対応を取ろうとしないのは,長年続いている「公務員タタキ」にあらかじめ萎縮しているからとしか思えない(もっともわれわれはすでに公務員ではないのだが).しかし,「人事院勧告に合わせるため」という言い分に法的な根拠も,また他の合理的な理由もなく,仮にメディアが攻撃して来てもいくらでも反論できる.その材料はいくらでもある.

 にもかかわらず,あらかじめ反論をあきらめるような態度を取るとすれば,自らの「コミュニケーション能力」のなさを宣言するようなものだろう.これはわれわれが行っている学生への教育の趣旨とも正反対である.

 「ストは学生に迷惑がかかる」という言い方も耳にする.もちろん授業がキャンセルされ,別の日に補講が設定されたりすれば学生には不便をかける.しかし,「迷惑がかかる」事態が生じたとすれば,まずその第一義的な責任は一方的な賃下げをしてきた大学当局にあることを明確にしなければならない.そのうえで,この「第二義的な」組合の責任論について見てみると,正当な争議行為が法的に責任を問われないのは常識なので,これは法的な議論ではなく,いわば道義的・道徳的レベルの議論であろう.しかしむしろ次のように,不便さにまさる道徳的メリットがあるのではないだろうか.

 自らの権利を正当に主張し,その擁護のために実際に行動する,それを身をもって示すということは,広い意味ではこれこそ学生への重要な「教育」の一環である.きょうびわが国でストライキは「希少現象」と言えるほどのものになっている.これが組合の実際の闘争戦術として語られ,また仮に実行されるとすれば,それはこの大学に付加価値を与えることにすらなるかも知れない.このような議論を傲慢という人もいるかも知れないが,私は決してそうは思わない.

 逆に,このような一方的で不当な賃下げに何らの抵抗も示さないとすれば,「忍従」,「屈従」の見本を学生に示すことになり,その反教育性こそがむしろ重大である.学生たちがこれを「反面教師」として見てくれるかどうかは定かではない.

 組合的に「全国で足並みをそろえて」という考えもいただけない.今の全大教を見る限り,これでは最悪のレベルに「横並び」するだけであろう.むしろわが組合が「リーダーシップ」を取ること,「ユニークさ」を示すことこそ,今は重要である.

 また,経済への効果という点でも,今回の賃下げには正当性がない.「景気回復」への効果がマイナスであることは明白だろう.今年の「春闘」に際しては総理大臣すら,経営者団体に対して「賃上げ」を要請したではないか.せっかくのアリガタキ定額「給付」金も台無しである.

 このまま黙っていると,他で同じことが起こっても「あそこの組合も我慢したのだからうちも我慢しよう」ということになりかねない.このような「自粛」(=自虐)のスパイラルが経済をますます落ち込ませていくし,また回復を遅らせる.長く続くわが国の不況は,このように国民が,労働者が自らの権利を主張しないことによって補強されロックされた,いわば「権利不況」であると私は見る.

 新しい執行部に大いに期待したい.

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