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2015-08

戦争法案の強行採決を阻止するには

強行採決へのカウントダウンが始まった今,その直前,強行採決必至という状況で何をなすべきか,何が出来るのか,真剣に考えておくべきです.その瞬間,国会周辺は多くの抗議者であふれているはずです.その叫びは国会の中にも聞こえるでしょう.それだけでいいのか,ということです.

1章表紙.jpg重大な違憲行為であることがこれだけ明白な以上,超法規的憲法保障としての抵抗権を行使して,強行採決を止めるべきだと思います.具体的には,1,000人程の組織された集団が国会を封鎖する,具体的には議員会館の入り口などに大勢で座り込むことで,定足数3分の1を阻止することです.

10万の人々が国会を取り囲んでも,このような行動が組織されず,法案が可決されてしまうという事態をむかえたとき,はたして悔いは残らないでしょうか?10万は,法案の具体的阻止という目標に照らせば,結局,烏合の衆でしかなかった,ということにならないでしょうか?

もちろん,その前にこれに至らないようにする活動をやらなければならないのは言うまでもありませんが,最後の手段も当然準備しなければならないということです.

憲法保障,超法規的憲法保障については,ある法律サイト*に次のような解説があります.

憲法保障とは,最高法規である憲法の意味・体系・内容が下位の法規範ないし法的措置によって変質させられてしまうことを事前に防止し,または事後に是正するための措置をいいます.憲法保障を大別すると,(1)憲法自身に定められている制度と,(2)憲法には定められていないけれども超法規的な根拠によって認められると考えられる制度があります.

憲法自身に定めがあるものとしては,よく知られた違憲立法審査権などがあります.問題は憲法外的保障(憲法に規定のない保障)です.これについて,同じサイトは抵抗権について次のように説明しています.抵抗権.jpg

超法規的根拠により認められる憲法保障制度
(1)抵抗権
抵抗権とは,国家権力が人間の尊厳を侵す重大な不法を行った場合に,国民が自らの権利・自由を守り人間の尊厳を確保するため,実定法上の義務を拒否する抵抗行為をいいます.抵抗権の考え方は古くからあり,人権思想の発達に大きな役割を果たしました.特に近代市民革命の時代には,実際に重要な意味を持つものでした.しかし,その後の近代立憲主義の進展とともに,憲法保障制度が整備されることによって,抵抗権は人権宣言から姿を消してしまいました.抵抗権は,本来,個人の権利・自由として実定化されることになじまない性格を持っているからです.そして,日本国憲法上も,抵抗権の規定は存在しません.ただし,現在でも抵抗権の概念自体は認められる余地があるとされています.

繰り返しになりますが,国会での政府の説明が何重にも破綻し,違憲立法であることが明白になっても,ただ審議時間さえ経てば「数」によって押し切られるという状況では,これを阻止するには抵抗権の行使しか残されていません.

この行動の準備に当たっては,次のような配慮が必要でしょう.
1.参加者を限定し,あらゆる場面で,言葉の暴力も含めて非暴力を徹底する.
2.挑発者の紛れ込みを防止する.
3.逮捕覚悟の行動になるため,その用意があるかどうかを確認する.

人数が十分でなければ,警察のごぼう抜きによって一時的に排除されるということになるかも知れません.しかしこのように「実効的な」行動が示されることで,多くの人々をエンパワーし,この活動への理解者・参加者が膨らむことも期待できます.最大の敵はなにより「無力感」なので,これから人々を解放する一助となるでしょう.

このような,国会に対する直接行動は,国会自身が憲法上重要な位置を占めるため,濫用するとそれ自体が憲法破壊行為になります.極右勢力が同様の行動を起こす,そのような事態へのパンドラの箱を開けることになるかも知れません.したがって,抵抗権の濫用ではないという十分な確信が必要です.(極右の同様の行為に対しては,平和勢力が非暴力でこれに対処するということでなければなりません.)

沖縄や原発再稼働阻止など少ない事象を除いて,国内の市民運動においては「抵抗権」がほとんど封印された状態が長く続きましたが,その限界が見えて来ているという認識がむしろ重要だと思います.

8月30日の「国家包囲」が単なる象徴的表現行為ではなく,「国会封鎖」の予行演習となることを期待します.

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*LEC東京リーガルマインドのサイト
https://online.lec-jp.com/images/goods/pdf/kd00415.pdf
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同じ趣旨の過去の記事です.
戦争法案を #本当に止める にはどうするか(2)「憲法より礼儀が大事」を否定するなら
戦争法案を廃案に追い込むシナリオ
戦争法案を“#本当に止める”にはどうするか

川内原発はすでに停止している?

仏紙ルモンドは,川内原発は「一時停止した」(a été interrompu)と報じています.
http://www.lemonde.fr/energies/article/2015/08/21/le-japon-suspend-le-redemarrage-du-reacteur-nucleaire-de-sendai_4732167_1653054.html?xtmc=sendai&xtcr=2
「wantonのブログ」で知りました.
http://ameblo.jp/64152966/entry-12065133195.html

最後のパラグラフを除いて,翻訳してみます.
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Le Japon suspend le redémarrage du réacteur nucléaire de Sendai
日本は川内原発の再起動を一時停止した

Le redémarrage du réacteur numéro 1 de la centrale nucléaire de Sendai, une première au Japon depuis la catastrophe de Fukushima en mars 2011, a été interrompu vendredi 21 août en raison d’un problème de pompe au niveau du système secondaire de refroidissement, a annoncé un porte-parole de la compagnie Kyushu Electric Power.

福島の2011年3月の惨事のあと最初となる,川内原発1号基の再起動は,8月21日,二次冷却系のポンプのトラブルで中断された.九電の広報担当が発表した.

Experts et régulateurs avaient prévenu que le redémarrage, lancé après quatre ans d’arrêt, pourrait se heurter à des difficultés. Les ingénieurs de Kyushu Electric pensent que le problème a été provoqué par une infiltration d’eau de mer dans l’une des pompes du circuit de refroidissement secondaire, où la vapeur qui entraîne les turbines et produit de l’électricité est refroidie.

専門家と規制当局は,4年間も停止した原発の再起動は様々な困難に遭遇する可能性があると見越していた.九電の技術者らは,トラブルは二次冷却系の複数のポンプのうちの一つへの海水の漏れ込みによって生じたと考えている.二次冷却系では,タービンを動かし電力を作った水蒸気が冷却される.

Un enjeu politique majeur
Selon les plans initiaux, le réacteur numéro 1 de Sendai devait atteindre sa pleine puissance mardi avant d’entrer en production au début de septembre.
Ce redémarrage est un enjeu politique majeur pour le premier ministre Shinzo Abe, fervent partisan d’une relance du nucléaire dans un Japon où l’opinion publique reste majoritairement hostile à ce mode de production électrique en raison des risques qu’il implique pour la population. Tous les autres réacteurs du pays sont à l’arrêt depuis septembre 2013.

大きな政治的賭け
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本当に停止しているかどうかは,高圧送電線の下の磁場を測れば分かると思います.九電が国内向けに発表しているように,75%程度の出力を出しているのであれば,到底自家消費は出来ず,送電しなければなりません.磁場の強さについては,次の記事が参考になるでしょう.

電磁波と暮らしを考える「オールアース住宅」- オールアース住宅のFAQ
http://www.all-earth.jp/faq/souden.html

戦争法案を #本当に止める にはどうするか(2)「憲法より礼儀が大事」を否定するなら

さいたま市立指扇中学校・新井敬二郎校長の「憲法より礼儀が大事」という言葉*が物議を醸しています.全文は確認できませんが,日常生活で身につけておく常識としての比較という文脈のようです.でも言葉は重要で,タイトルならなおさらです.

文脈を無視して,言葉を言葉として再利用するならば,これはまさに現在の戦争法阻止運動にも当てはまります.

道路や通路に座って通行を妨害することは,行儀のよいことではなく,もちろん礼儀にも反します.それだけでなく道交法違反に問われることもあるでしょう.しかし,こと憲法に関わる場合,(超法規的) #憲法保障 の手段として必要な場合があります.

沖縄・シュワブゲート前では,人々が自らの憲法的権利を守るために,工事車両などに対するゲート封鎖を試みています.国会による憲法を破壊しようとする試み(違憲立法)に対しては,それが明白かつ重大である以上,それを阻止する行動は,沖縄・シュワブゲートのケースに比べても,その必要性はより大きいことはあっても決して小さいということはありません.

最後の土壇場,国会で最終的な議決がされるかも知れないという状況にまでなったとき,国会封鎖などあらゆる非暴力の手段に訴えてもこれを阻止すべきであり,これを否定する態度は,とどのつまりはこの校長と同じ立場ということになるでしょう.(国会封鎖については次のブログ記事を参照下さい.またいくつかのMLにも投稿しました.)
http://pegasus1.blog.so-net.ne.jp/2015-07-18
http://pegasus1.blog.so-net.ne.jp/2015-07-05

「国会包囲」の行動が計画されていますが,これを単なる象徴的表現行動にするのではなく,実際の予行演習として,国会や議員会館の出入り口をよくチェックする機会にするべきです.もちろん実際の行動では,逮捕の可能性のある行動と,周辺で支援する人とを明確に分ける必要があります.前者としては私も含む定年退職者などが多く志願すべきだと思います.

この,受験用語で言えば最後の「滑り止め」が確保されて初めて,法案阻止への自信も強まり,それ以前の,多様でもっと穏便な手段にも力が入るというものです.

アベは,これまで政治的なデモや集会に参加したことのなかった人たちにも「立憲主義」というものへの理解を広げる機会を提供しました.同様に,活動家や政治意識の高い人たちにとっては, #抵抗権 ,#不服従 ,#非暴力直接行動 という概念を普及させる大きな機会を提供していると思います.法律家の方は是非とも,この行動形態を理論的に支える言説を提供していただきたい.

先日,京都での宇宙兵器に反対するグローバルネットワークのセミナー**に参加しましたが,市民運動において直接行動はごく普通のことで,逮捕経験のある人も珍しくありませんでした.日本の市民運動,特に沖縄県外でのそれが,いわゆる「ガラパゴス状態」にあることを実感しました.
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* https://twitter.com/waka929/status/627280281003651072
(7月・学校便りの巻頭言に掲載されたとのこと)
** http://space-peace-kyoto.blogspot.jp
http://space4peace.blogspot.jp/2015/07/report-from-kyoto.html

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はたして、911 は本当にテロだったのか。ZERO は、原版(イタリア語)の制作(2007年)以来、ローマ国際映画祭(2007年10月)、ブリュッセルEU議会場(2008年 2月)、ロシア国営放送(2008年9月)で上映された、対テロ戦争の原点を鋭くえぐる長編ドキュメンタリー。

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