抗議デモの効果を決める二つの要素 — 人数とメッセージの強さ

https://twitter.com/akagikonuma/status/229849363663421440

きょうは脱原発国会包囲のネット中継を,終了直前から見始めた.ちょうど,警察の規制ラインが人の波によって決壊したところだった.主催者のミサオ・レッドウルフさんが,例のマスク姿で歩道に戻るようにと訴える.「きょうの行動だけでは原発は止められません」というようなことを叫ぶ.「じゃあ,どうしたら止められるんだ!」とヤジが飛ぶ.そのような状況が10分か20分も続いただろうか,そして主催者が「終了」を宣言する.
国会前チャンネルが静止画になってしまったので官邸前中継にチャンネルを切り替えているとそこはどちらかというと静かで,同じイベントとは思えない.国会前に戻すと,もうあっという間に集会は解散モードに切り替わっていた.なんとあっさりしていることか.「もったいない」という声も聞こえる.
野田政権は,いずれこのデモも下火になっていくのだろうとタカをくくっているのだろう.実際その恐れもある.「鉄は熱いうちに打て」という格言が気になる.
人々に訴える力は,抗議者の人数だけでなくその人たちの訴えの強さにある.それは表現のレベル,つまり行動に反映する.言葉によるだけではない「行為によるプロパガンダ」[注]である.たとえば,2時間で引き上げず官邸前の車道を占拠し続ければ逮捕者も出るだろうが,そのことはマイナスというばかりではない.逮捕も恐れず抗議の意志を示し続けたということで,それが強いメッセージとなり説得力の獲得するのである.
主催者の首都圏反原発連合としては,そのような「過激」な行動は多くの参加者にネガティブに働き,次回からの参加をためらうと思っているのだろう.しかし本当にそうだろうか?暴動のような暴力的事態に発展しない限り,逮捕されるのが「希望者」に限られる場合,つまり逮捕を避ける行動メニューが用意されている限りは,安心して参加出来るだろう.私が経験したイギリスの核兵器反対の直接行動が,参加者にまさにそのような幅広い参加形態のスペクトルを用意していた.(例えば「大学人によるセミナー・基地封鎖」.道路に座り込めば逮捕の可能性があるが,歩道で応援する人は安全)
主催者は非暴力“直接行動”と称しているようだが,これは直接行動という言葉の誤用だろう.現在までの行動に関する限り,「表現行動」の範囲を出ない.
この恒例の官邸デモはもはや主催者の所有物ではない.参加者一人一人のものだ.それらの人々自身によって「再定義」されて行くだろう.

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[注] マイケル・ランドル「市民的抵抗」(新教出版,2003年)p.134.
オリジナルでは"propaganda by the deed". Michael Randle, Civil Resistance (Fontana Press, London, 1994) p.114.
山鹿灯籠は電子ロウソクで!
10年以上前に初めて見たときにとても感動したものだ.灯籠の中の明かりは,昔はロウソクだったのだろうが,今はペンライトが使われている.だからロウソクのように揺らめかない.そこで,これを揺らめく光にしたいと,いつか自分で「電子ロウソク」を開発しようと思っていた.
ところが,最近ネット検索したところ,すでにこれを開発した人がいた!LED蝋燭工房のFMC-01という製品だ.さっそく1個購入し,手許にあった「山鹿灯籠」でテストしてみた.これがその動画だ.
色も明るさもロウソクと違わない.揺らめきもバッチリ.次は本物のロウソクを入れた場合.
室内で無風のため,光が揺らがない.そこでむりやり横から風を送っている.
山鹿市の観光協会に是非この電子ロウソクを採用するよう電話をかけた.その気になってくれれば,今年からいっそう幻想的な「灯籠祭り」が見られるのだが・・・
大飯原発封鎖行動の報道—テレビと新聞
大飯原発再稼働阻止行動では,ゲートに通じる道路を封鎖した英雄たちが出現した.何十時間も休みなく「サイカドーハンタイ」と声とドラムでリズムを打ち続けた若者たちだ.今回はいくつかのメディアがこれを正当にカバーしている.
テレビ朝日のモーニングバードは3月に4号機燃料プールの危機を大きく取り上げたが,昨日(7/2)は1日からの大飯原発封鎖行動を詳しく報道した.ビデオを次のサイトで視聴,ダウンロードできる.
Daily Motion 20120702 大飯原発再稼働反対で「人の壁」
新聞で最も大きく扱ったのは毎日で,一面トップに大きく写真入りで報じた.27ページでは航空写真も使い,「道路封鎖 市民ら抗議 再稼働 あまりに無責任」という見出しを付けている.

これに対してしんぶん赤旗は,これの直接行動としての本質を隠すような報道の仕方をしている.
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-07-02/2012070215_01_1.html
記事に「封鎖」という言葉はなく,「原発の入り口につながる道路に車などを並べて」という分かりにくい表現になっている.「封鎖」は主催者のスローガンであり実際の行動でもある,中心的なキーワードだ.
同紙の直接行動に対する見方はともかく,事実を正確に報道するという「新聞」としての使命からは外れていると言わざるを得ない.

Daily Motion 20120702 大飯原発再稼働反対で「人の壁」
新聞で最も大きく扱ったのは毎日で,一面トップに大きく写真入りで報じた.27ページでは航空写真も使い,「道路封鎖 市民ら抗議 再稼働 あまりに無責任」という見出しを付けている.

これに対してしんぶん赤旗は,これの直接行動としての本質を隠すような報道の仕方をしている.
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-07-02/2012070215_01_1.html
記事に「封鎖」という言葉はなく,「原発の入り口につながる道路に車などを並べて」という分かりにくい表現になっている.「封鎖」は主催者のスローガンであり実際の行動でもある,中心的なキーワードだ.
同紙の直接行動に対する見方はともかく,事実を正確に報道するという「新聞」としての使命からは外れていると言わざるを得ない.