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2012-03

ガレキ焼却に関するNHKニュースはメディア・リテラシーの格好の教材

MLでのガレキ問題でのやり取りで,静岡県島田市がガレキ焼却の試験をしたというNHKのニュース原稿を教えてもらった.これが非常に不思議な記事だ.いや,むしろ事実の歪曲と隠蔽の見本のようなもので,「メディア・リテラシー」の格好の教材になりそうだ.全文を引用する.
島田市 がれき焼却問題なしと確認(3月12日)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120312/k10013670141000.html
 →リンク切れのため「魚拓」へ
東日本大震災の被災地のがれきについて、静岡県島田市は、試験焼却の結果、排ガスなどについても放射性物質の濃度に問題はないと確認できたとして、15日にも、がれきの本格的な受け入れを正式に表明する方針です。
被災地のがれきを受け入れるため、静岡県島田市は放射性物質への住民の不安を取り除こうと、先月、市内のごみ処理施設で岩手県山田町の木材のがれき10トンを一般のごみに混ぜて試験的に焼却しました。
検査機関による測定でがれきや焼却灰の放射線量などは、一般ごみだけを焼却した場合と変わらないことがすでに確認されていましたが、このほかのデータもまとまり、12日、市の担当者が議会側に報告しました。
それによりますと、排ガスについては集じん器の入り口で1立方メートル当たり最大0.70ベクレルと、ごく僅かに放射性セシウムが検出されたものの、フィルターを通ったあとの煙突の部分では検出されませんでした
また、焼却灰とは別に出るスラグやメタルと呼ばれる残留物からは放射性物質は検出されず、市の担当者は「全体として問題のある数値は出ていない」と説明しました。
報告を受けた島田市議会の中野浩二議長は「東北を助けなければという思いはほとんどの議員が同じなので、市は測定を続けて地元の理解を得てほしい」と述べました。
島田市の桜井勝郎市長は15日にも、がれきの本格的な受け入れを正式に表明する方針です。

なにがおかしいか?
1.排ガス中の濃度
集じん器の入り口での排ガス中放射性セシウム濃度0.7 Bq/m^3 を「ごくわずか」という.これは例えば群馬県高崎市のCTBT観測所の現在の大気中濃度 10^-4 Bq/m^3(これも事故前に比べて非常に高いが)に比べて1万倍近い.フィルターのあとでは検出されなかったとあるが,「不検出」は検出限界値を示さないと意味がない.かりにフィルターで99%除去され,1%にまで低減されるとしても 0.007 Bq/m^3.煙突から出ることになるこの濃度は,事故直後の昨年3月末から4月初めにかけての上記高崎市の値,言い換えるとこの頃の関東平野での値に匹敵する.事故前の平常値は10^-7Bq/m^3程度である.

2.焼却灰中の濃度
このニュース文では肝心の焼却灰についての値を示していない.一般ゴミと変わらないことが「すでに確認されていた」とあるが,排ガスで検出されて灰が一般ゴミのレベルとはとうてい考えられない.この点について,原典,つまり静岡県のサイトに当たってみると,次のように消却灰の値が出ている.
http://www.pref.shizuoka.jp/kankyou/ka-040/gareki/1-7.html

(5)焼却灰等の放射性セシウム濃度測定結果
 採取日:平成24年2月17日(金曜日)
 (単位)Bq/kg
 -------------------------------------
 測定対象物   放射性セシウム濃度
 無害化処理灰  64
 -------------------------------------

確かに原子力発電所の事業所内から出た廃棄物の規制値である100Bq/kgといういわゆる「クリアランスレベル」に比べれば小さいが,しかしNHKは「一般ごみだけを焼却した場合と変わらない」と言っているのである.フクシマ以前はもちろん,現在でも,九州など福島からはなれた所での一般ゴミの焼却灰にこんなにセシウムが入っているとは到底思えない.NHKは一体どこの「一般ゴミ」のことを言っているのだろうか?
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