法遵守の活動としての,市民による法の執行としての「直接行動」
鳩山首相の今日の沖縄訪問をめぐって,ツイッター上では「直接行動」という言葉も見られます.先日提案した基地封鎖の「直接行動」とは,意味や趣が違うかも知れませんが,無関係でもないと思いますので,少し説明を追加したいと思います.
この,"Futenma 365"の案に対して,「法に触れる行為はだめ」というよくありがちなコメント書き込みがありました.私のブログの読者でない方や「ファスレーン365」についてご存知でない方は,まずほとんどこのように反応されるのだろうと思います.そのコメントへの返事として,むしろこれは法を守るための行動だという趣旨で,少し長く,分かりやすくコメントを書きました.その文章の繰り返しです.ほんの少しだけ加筆修正しています.
この,"Futenma 365"の案に対して,「法に触れる行為はだめ」というよくありがちなコメント書き込みがありました.私のブログの読者でない方や「ファスレーン365」についてご存知でない方は,まずほとんどこのように反応されるのだろうと思います.そのコメントへの返事として,むしろこれは法を守るための行動だという趣旨で,少し長く,分かりやすくコメントを書きました.その文章の繰り返しです.ほんの少しだけ加筆修正しています.
韓国の「運動圏」が天安号沈没事件に対する政府発表を批判
韓国の軍艦沈没事件について,韓国の民間団体「運動圏」の記者発表を転載します.「日朝連絡会」というMLに流れたものです.MLへの転載者の前書きは末尾にあります.
私はこの「運動圏」という名前は初めて耳にしました.固有名詞か普通名詞かさえもよく分かりません(たぶん前者).でもこの声明の中には重要なキーワード,KNTDSのレーダー映像やTODの映像といったものが含まれますので,有用かと思い,転載しました.
私はこの「運動圏」という名前は初めて耳にしました.固有名詞か普通名詞かさえもよく分かりません(たぶん前者).でもこの声明の中には重要なキーワード,KNTDSのレーダー映像やTODの映像といったものが含まれますので,有用かと思い,転載しました.
韓国の「運動圏」が天安号沈没事件に対する政府発表を批判
韓国の軍艦沈没事件について,韓国の民間団体「運動圏」の記者発表を転載します.「日朝連絡会」というMLに流れたものです.MLへの転載者の前書きは末尾にあります.
私はこの「運動圏」という名前は初めて耳にしました.固有名詞か普通名詞かさえもよく分かりません(追記:オリジナルサイトでコメント頂いたように後者).でもこの声明の中には重要なキーワード,KNTDSのレーダー映像やTODの映像といったものが含まれますので,有用かと思い,転載しました.
6月6日追記:「土佐高知の雑記帳」が,報告書の邦訳を掲載,また関連して議論しています.
http://jcphata.blog26.fc2.com/blog-entry-1900.html
http://jcphata.blog26.fc2.com/blog-entry-1902.html
私はこの「運動圏」という名前は初めて耳にしました.固有名詞か普通名詞かさえもよく分かりません(追記:オリジナルサイトでコメント頂いたように後者).でもこの声明の中には重要なキーワード,KNTDSのレーダー映像やTODの映像といったものが含まれますので,有用かと思い,転載しました.
6月6日追記:「土佐高知の雑記帳」が,報告書の邦訳を掲載,また関連して議論しています.
http://jcphata.blog26.fc2.com/blog-entry-1900.html
http://jcphata.blog26.fc2.com/blog-entry-1902.html
テレビクルーが退席を拒否し取材続ける
20日の福岡防衛局訪問の件です.
すでに要請書へのリンクとテレビ報道については20日の記事で紹介しました.また,写真などはPNETブログにありますのでご覧下さい.
5/20 九州防衛局に要請行動
ところで今回応対した防衛局の担当者は「報道官」という肩書きでしたが,前回と違ってかなり高圧的な印象でした.写真撮影はダメだとか,出席者全員の住所氏名を書いてくれとか注文の多い人でした.単なる「お願い」ということなので結局私たちはこれを無視しましたが・・・.
さらに,取材のメディアに対しては「あたま撮り」が終わったら退出してくれというのでひと悶着ありました.「報道官」がプレスを嫌って一体どうするのでしょうか?地元のテレビKBCのクルーはこれを敢然と拒否し,取材を続けました.これにはメディア人の気骨を見た思いでした.
そのやりとりを再現すると・・・.
このようなやりとりのあと,TVクルーと新聞記者は同席取材を続けました.
すでに要請書へのリンクとテレビ報道については20日の記事で紹介しました.また,写真などはPNETブログにありますのでご覧下さい.
5/20 九州防衛局に要請行動

さらに,取材のメディアに対しては「あたま撮り」が終わったら退出してくれというのでひと悶着ありました.「報道官」がプレスを嫌って一体どうするのでしょうか?地元のテレビKBCのクルーはこれを敢然と拒否し,取材を続けました.これにはメディア人の気骨を見た思いでした.
そのやりとりを再現すると・・・.
[報道官] 申し訳ないですけれども,ここで一度ご退出下さい.これはお願いです.このような中でやると言うことは予期しておりませんでしたので・・・
[TV記者] いや,昨日,マスコミの方が来られるんですかと聞かれたので(その旨伝えています).
(双方発言交錯,聴取困難)
[報道官] (中で)取材されるということまでは,考えておりません.
[TV記者] ・・・(聴取困難)にしては,ま,いいんじゃないですか?
[報道官] ま,それは・・・
[TV記者] こういう社会的な活動があって,(マスコミが)来るかも知れない,そういった場合,対応するべきじゃないですか?われわれ,こういったことが中で撮れないということが・・・
[報道官] どこの社の方かと言うことを・・・,あのー(こちらにに記帳してほしい)・・・
(記者ら記名)
このようなやりとりのあと,TVクルーと新聞記者は同席取材を続けました.
福岡防衛局へのPAC3撤去申し入れのテレビニュース
今日,芦屋基地周辺住民の会とPNETとで福岡防衛局にPAC3撤去を申し入れました.この様子が地元テレビのニュースで短く放送され,現在ネットで視聴可能です. http://www.kbc.co.jp/news/
要請書は次にあります.
http://ad9.org/p9net/removepac3.html
とりあえず速報です.
要請書は次にあります.
http://ad9.org/p9net/removepac3.html
とりあえず速報です.
「基地阻止」から「基地閉鎖」への直接行動の拡大を ― “Futenma 365” の提案 ―
要約
普天間問題が全国民のアジェンダになっているかつてない機会(オポチュニティイー)を生かし,普天間基地撤去を実現するためには,同基地のゲートに連続的かつ長期間に亘って座り込む,非暴力の封鎖行動が必要かつ効果的であると思う.
昨日紹介したチャルマーズ・ジョンソン氏は,次のように発言しています.
鳩山首相を批判し糾弾するのも当然だし,また逆に応援する気持ちも分かりますが,個人個人にとって最も重要なのは鳩山さんがどうのこうのではなく,「自分が」何をするか,ということだと思います.私たちの一人一人,つまり“他の日本人”が何の行動をするのか,どう“立ち上がる”のか,ということです.ジョンソン氏の発言は,この重要なポイントに触れたものだと思います.
先のブログ記事での自治体決議の提案はその一つになりうると思います.ここではもう一つの新しい行動の提案です.現在の,基地移設反対,基地新設反対の運動からさらに攻勢に出て,普天間基地の閉鎖を求める直接行動キャンペーンを行ったらどうでしょうか.もちろんあくまでも非暴力の行動として,です.
沖縄ではこれまで,辺野古の「海上座り込み」や,高江のヘリパッド阻止運動など,果敢な非暴力直接行動で(当事者がこの言い方を好まれるかどうかは別として),基地新設が阻止されて来ました.この運動を「新基地の阻止」から「現基地の撤去」に拡張するのです.
具体的には,普天間基地のすべてのゲートに座り込み,出来るだけ長期間かつ連続的に封鎖するのです.これは,アメリカや米軍に対する強いメッセージとなり,またメディアも取り上げざるを得ない,強力で効果的なキャンペーンになりうると思います.
逮捕者が出ることが予想されますので,その際の支援体制,裁判への備えなど,事前の十分な準備が必要です.また,参加者には事前に,「逮捕のリスクを負う」のか「逮捕回避」かの確認をして,前者は十分な心の準備をしたうえで行動することが重要です.後者の,逮捕のリスクを避け,回りで支援する多数の人々も絶対に必要です.
すぐに警察にゴボウ抜きにされるので,封鎖の実効性はないのではないかと思われるかも知れません.しかしこのような行動を繰り返すことで,基地と米軍に対して大いなるハラスメントを与えられるし,何よりもメディアが取り上げざる得ないため,アジェンダの重心を「移設」から「基地撤去」に持って行くことが出来ます.封鎖の実効性についても,イギリスの核基地封鎖運動では,「ロックオン」など様々な技法を開発し,最長2時間もの封鎖に成功しています.これだけの時間だと,基地の運営に何らかの実害を与えられるはずです.
これまで私が支援し,その行動の一部にも加わったイギリスの反核運動グループ「トライデント・プラウシェアズ」(TP)では,これまでの十年余りの活動で逮捕者の数は延べ2千名を超えています[註].そしてその「逮捕」という事象は運動にとって決してネガティブではなく,メディア露出を助け,行動の「本気度」を一般市民にアピールするのに非常に役立っています.つまり,言葉だけではない,「行動による説得」です.(TPの活動家M.アームストロングは22回の逮捕と17回の拘留.インディペンデントの4月15日の記事(英文)参照)
この運動が効を奏し,イギリスでは自国の核を撤廃すべきという世論が比較多数になっています(絶対多数という調査結果もあります).また,同国唯一の核基地があるスコットランドでは,3年前から「核兵器撤去」を公約に掲げる政党が政府を握っています.
「イギリスと日本では事情が違う」と言われそうですが,確かにイギリスの反核運動と警察当局・司法当局との関係は,世界的にもかなり特殊です.私たちも3年前に,スコットランド・ファスレーン基地の封鎖行動「ファスレーン365」に日本チームを作って参加しましたが,本当に「安心して」「一晩限り」の留置場を体験することが出来ました.でも,イギリスといえども決してはじめからそうだったわけではありません.長年にわたる活動家と警察との対話,そして何よりも一般市民の支持を得るための様々の工夫が積み重ねられて来た結果です.
辺野古の運動では,数年前にリーダーの平良夏芽さんが逮捕されるという事件がありました.「一人逮捕されただけでもこれだけ大変なのに,逮捕されることを煽るとはなにごとか」とも言われそうですが,逮捕者の数がある臨界点を超えると質的な転換が起きるようです.つまり警察や裁判所の側が処理能力を超えるので,逮捕を控えるようになるのです.これはスコットランドでTPが経験したことです.私たちが一晩の留置で「無罪放免」とされたのも,一部にはその効果があります.
因みに,「逮捕される」というのは,現場の警察官と,市民・活動家との間で,法解釈についての見解が違った結果に過ぎません.われわれの側には,イラクやアフガニスタンでの米軍の非人道的な違法行為を止めるという国際法上の強力な後ろ盾があるはずです.(この点では,「基地を作らせない」ためのケースよりも,より直接的な合理性,正当性を持つのかも知れません.)
本稿の副題につけた“Futenma 365”は,2007年にイギリスの核基地を撤去するための1年間を通じて基地を封鎖するキャンペーン「ファスレーン365」(Faslane 365)に因んだものです.もちろん名前というものは,現地で実際にやる人が最もアピールすると思うものを考えるでしょう.でも「ファスレーン365」を知っている人はごく少数でしょうから,この名称を「英国直輸入」と感じる人は少ないかも知れません.むしろ,もしかすると逆に,ファスレーン365の起源が「辺野古365」にあるのかも知れません.実際TPの運営メンバーでファスレーン365の提案者であるアンジー・ゼルターは2000年に沖縄に来て講演をしています.そのとき辺野古の座り込みも知ったはずです.
普天間の海兵隊に限らず,沖縄米軍の「基地被害」の最大の被害者は,海兵隊や米軍に日々家族を殺されているイラクやアフガニスタンの人々です.したがってこれらの国の人々も,この座り込み活動に参加する資格があります.もちろん加害の側のアメリカ国民もです.このような国際協力は,一国の市民運動では出し得ない巨大な力を発揮することがあります.
折から,5月16日の日曜日には,「人間の鎖・普天間基地包囲行動」が14時~15時に実施されます.その参加者の間で,この私の提案“Futenma 365”がほんの少しでも話題になると有り難いです.
私自身は当分は「逮捕回避」の形態での参加になりますが,このような運動が始まれば休暇を出来るだけたくさん使って,宜野湾市に駆けつけたいと思います.いや,もちろん他の形態であっても.
[註] 逮捕者数延べ2,251名,裁判件数520,拘留延べ日数2,197日(晩?,このうち5日はわが日本チーム),罰金総額78,024.50ポンド(罰金は実際にはほとんど払わず代わりの拘留を選ぶ).TPの活動マニュアルの日本語訳があります.反核運動だけでなく,反戦運動や市民運動に幅広く示唆をあたえる内容が盛りだくさんです.一冊千円.内容や注文先は次をご覧下さい.
トライデント・プラウシェアズ ハンドブック
[註2] 現地での体験などを「長崎平和研究」に掲載しています.次にpdfがあります.ただし写真があるため20.5MBもあります.
「ファスレーン365」と非暴力直接行動の持つ意味
― 核廃絶,社会運動,さらには国防の手段として ―
「長崎平和研究」No.27, p.125-139(2009年)
他に岩波の「世界」にも拙文あり.2008年1月号,p.278-285.
十二名の日本市民はいかに英国の核基地を封鎖したか
日本チームの封鎖行動のビデオ(YouTube,7分強)
追記:KENKOOKINAWAさんから,次のようなツイートが返されました:
確かにそうでしょうね.この運動は,広い意味の「現地の人」,つまり日本市民全体がこの運動にどのくらい関わることができるか,にかかっているでしょうね.ただ,新基地阻止よりも国際行動として取り組みやすいという有利さはあります.ある日の封鎖はこんな様子でしょうか.被害国のイラクやアフガンの人々と,アメリカの市民が手を取り合ってゲートに座り込む,それを日本市民が応援する,とてもいいシーンになると思います.ちなみにファスレーン365もスコットランドだけの行動ではなく,全世界に呼びかけた行動でした.もちろんイギリスが主体でしたが.
普天間問題が全国民のアジェンダになっているかつてない機会(オポチュニティイー)を生かし,普天間基地撤去を実現するためには,同基地のゲートに連続的かつ長期間に亘って座り込む,非暴力の封鎖行動が必要かつ効果的であると思う.
昨日紹介したチャルマーズ・ジョンソン氏は,次のように発言しています.
「同じ日本人である沖縄住民が米軍からひどい扱いを受けているのに他の日本人はなぜ立ち上がろうとしないのか、私には理解できない。もし日本国民が結束して米国側に強く主張すれば、米国政府はそれを飲まざるを得ないだろう。」
鳩山首相を批判し糾弾するのも当然だし,また逆に応援する気持ちも分かりますが,個人個人にとって最も重要なのは鳩山さんがどうのこうのではなく,「自分が」何をするか,ということだと思います.私たちの一人一人,つまり“他の日本人”が何の行動をするのか,どう“立ち上がる”のか,ということです.ジョンソン氏の発言は,この重要なポイントに触れたものだと思います.
先のブログ記事での自治体決議の提案はその一つになりうると思います.ここではもう一つの新しい行動の提案です.現在の,基地移設反対,基地新設反対の運動からさらに攻勢に出て,普天間基地の閉鎖を求める直接行動キャンペーンを行ったらどうでしょうか.もちろんあくまでも非暴力の行動として,です.
沖縄ではこれまで,辺野古の「海上座り込み」や,高江のヘリパッド阻止運動など,果敢な非暴力直接行動で(当事者がこの言い方を好まれるかどうかは別として),基地新設が阻止されて来ました.この運動を「新基地の阻止」から「現基地の撤去」に拡張するのです.
具体的には,普天間基地のすべてのゲートに座り込み,出来るだけ長期間かつ連続的に封鎖するのです.これは,アメリカや米軍に対する強いメッセージとなり,またメディアも取り上げざるを得ない,強力で効果的なキャンペーンになりうると思います.
逮捕者が出ることが予想されますので,その際の支援体制,裁判への備えなど,事前の十分な準備が必要です.また,参加者には事前に,「逮捕のリスクを負う」のか「逮捕回避」かの確認をして,前者は十分な心の準備をしたうえで行動することが重要です.後者の,逮捕のリスクを避け,回りで支援する多数の人々も絶対に必要です.
すぐに警察にゴボウ抜きにされるので,封鎖の実効性はないのではないかと思われるかも知れません.しかしこのような行動を繰り返すことで,基地と米軍に対して大いなるハラスメントを与えられるし,何よりもメディアが取り上げざる得ないため,アジェンダの重心を「移設」から「基地撤去」に持って行くことが出来ます.封鎖の実効性についても,イギリスの核基地封鎖運動では,「ロックオン」など様々な技法を開発し,最長2時間もの封鎖に成功しています.これだけの時間だと,基地の運営に何らかの実害を与えられるはずです.
これまで私が支援し,その行動の一部にも加わったイギリスの反核運動グループ「トライデント・プラウシェアズ」(TP)では,これまでの十年余りの活動で逮捕者の数は延べ2千名を超えています[註].そしてその「逮捕」という事象は運動にとって決してネガティブではなく,メディア露出を助け,行動の「本気度」を一般市民にアピールするのに非常に役立っています.つまり,言葉だけではない,「行動による説得」です.(TPの活動家M.アームストロングは22回の逮捕と17回の拘留.インディペンデントの4月15日の記事(英文)参照)
この運動が効を奏し,イギリスでは自国の核を撤廃すべきという世論が比較多数になっています(絶対多数という調査結果もあります).また,同国唯一の核基地があるスコットランドでは,3年前から「核兵器撤去」を公約に掲げる政党が政府を握っています.
「イギリスと日本では事情が違う」と言われそうですが,確かにイギリスの反核運動と警察当局・司法当局との関係は,世界的にもかなり特殊です.私たちも3年前に,スコットランド・ファスレーン基地の封鎖行動「ファスレーン365」に日本チームを作って参加しましたが,本当に「安心して」「一晩限り」の留置場を体験することが出来ました.でも,イギリスといえども決してはじめからそうだったわけではありません.長年にわたる活動家と警察との対話,そして何よりも一般市民の支持を得るための様々の工夫が積み重ねられて来た結果です.
辺野古の運動では,数年前にリーダーの平良夏芽さんが逮捕されるという事件がありました.「一人逮捕されただけでもこれだけ大変なのに,逮捕されることを煽るとはなにごとか」とも言われそうですが,逮捕者の数がある臨界点を超えると質的な転換が起きるようです.つまり警察や裁判所の側が処理能力を超えるので,逮捕を控えるようになるのです.これはスコットランドでTPが経験したことです.私たちが一晩の留置で「無罪放免」とされたのも,一部にはその効果があります.
因みに,「逮捕される」というのは,現場の警察官と,市民・活動家との間で,法解釈についての見解が違った結果に過ぎません.われわれの側には,イラクやアフガニスタンでの米軍の非人道的な違法行為を止めるという国際法上の強力な後ろ盾があるはずです.(この点では,「基地を作らせない」ためのケースよりも,より直接的な合理性,正当性を持つのかも知れません.)
本稿の副題につけた“Futenma 365”は,2007年にイギリスの核基地を撤去するための1年間を通じて基地を封鎖するキャンペーン「ファスレーン365」(Faslane 365)に因んだものです.もちろん名前というものは,現地で実際にやる人が最もアピールすると思うものを考えるでしょう.でも「ファスレーン365」を知っている人はごく少数でしょうから,この名称を「英国直輸入」と感じる人は少ないかも知れません.むしろ,もしかすると逆に,ファスレーン365の起源が「辺野古365」にあるのかも知れません.実際TPの運営メンバーでファスレーン365の提案者であるアンジー・ゼルターは2000年に沖縄に来て講演をしています.そのとき辺野古の座り込みも知ったはずです.
普天間の海兵隊に限らず,沖縄米軍の「基地被害」の最大の被害者は,海兵隊や米軍に日々家族を殺されているイラクやアフガニスタンの人々です.したがってこれらの国の人々も,この座り込み活動に参加する資格があります.もちろん加害の側のアメリカ国民もです.このような国際協力は,一国の市民運動では出し得ない巨大な力を発揮することがあります.
折から,5月16日の日曜日には,「人間の鎖・普天間基地包囲行動」が14時~15時に実施されます.その参加者の間で,この私の提案“Futenma 365”がほんの少しでも話題になると有り難いです.
私自身は当分は「逮捕回避」の形態での参加になりますが,このような運動が始まれば休暇を出来るだけたくさん使って,宜野湾市に駆けつけたいと思います.いや,もちろん他の形態であっても.
[註] 逮捕者数延べ2,251名,裁判件数520,拘留延べ日数2,197日(晩?,このうち5日はわが日本チーム),罰金総額78,024.50ポンド(罰金は実際にはほとんど払わず代わりの拘留を選ぶ).TPの活動マニュアルの日本語訳があります.反核運動だけでなく,反戦運動や市民運動に幅広く示唆をあたえる内容が盛りだくさんです.一冊千円.内容や注文先は次をご覧下さい.
トライデント・プラウシェアズ ハンドブック
[註2] 現地での体験などを「長崎平和研究」に掲載しています.次にpdfがあります.ただし写真があるため20.5MBもあります.
「ファスレーン365」と非暴力直接行動の持つ意味
― 核廃絶,社会運動,さらには国防の手段として ―
「長崎平和研究」No.27, p.125-139(2009年)
他に岩波の「世界」にも拙文あり.2008年1月号,p.278-285.
十二名の日本市民はいかに英国の核基地を封鎖したか
日本チームの封鎖行動のビデオ(YouTube,7分強)
追記:KENKOOKINAWAさんから,次のようなツイートが返されました:
辺野古、高江は毎日座り込みが続いてます。年に1度「人間の鎖・普天間基地包囲行動」今年は5/16(日)14~15時。そして何度目の県民大会…。私には、これ以上やれとは言い切れません。 RT @yamamoto2007 「フテンマ365」http://bit.ly/aWhI9p
確かにそうでしょうね.この運動は,広い意味の「現地の人」,つまり日本市民全体がこの運動にどのくらい関わることができるか,にかかっているでしょうね.ただ,新基地阻止よりも国際行動として取り組みやすいという有利さはあります.ある日の封鎖はこんな様子でしょうか.被害国のイラクやアフガンの人々と,アメリカの市民が手を取り合ってゲートに座り込む,それを日本市民が応援する,とてもいいシーンになると思います.ちなみにファスレーン365もスコットランドだけの行動ではなく,全世界に呼びかけた行動でした.もちろんイギリスが主体でしたが.
条文改憲の動きの狙いは「目くらまし」か? --久留米市での憲法集会
久留米の憲法集会に参加した.メインの講演は元九大教授の斎藤文男氏.福岡のローカルテレビFBSの「めんたいワイド」で長年コメンテーターを務めていたので,広く知られた地元の有名人だ.専門は憲法.
講演は,私にとって非常にinformative,つまり情報に富み,聴き応えのあるものだった.聴衆の多くにとってもそうだったと思う.「民主党政権で憲法改正はどうなる?」と題して,憲法九条を中心に据えて,その「改正」の4つのカテゴリーについて論じた.つまり,(1)条文改憲,つまり九条の条文そのものを変える,(2)解釈改憲,(3)立法改憲,(4)外交改憲,の4つである.
1と2は説明不要だが,3と4は聞き慣れない言葉だ.3は要するに憲法を無視した法律を作って,実質改憲してしまうこと,4は外国との「共同声明」などで,違憲の約束をしてしまうことだ.つまり特に新しい概念ではないが,このようにきちんと名前がつくと,その問題点がはっきりと「可視化」される.やはり言葉が重要だ.
斎藤氏は,護憲勢力は1の条文改憲にばかり目を奪われて,他の3つの「手口」によって実質改憲されている事態から,そして今後もそれが進められるだろうという危険の重大性から,視線が逸れていると批判した.
牛と闘牛士のたとえでこれを説明した.つまり,「九条改憲するぞ」というのは闘牛士がヒラヒラさせる赤い布であって,布に向かって突進し隠された剣に気付かない愚かな牛は,いずれその剣で頸椎をやられるというのだ(もうすでにかなりやられている).
これは,護憲勢力の状況を,あえて言えば間抜けさを,するどく言い当てた喩えではないかと思う.ちょっと我田引水になるが,われわれPネットなど「ミサイル防衛」と呼ばれる新たな軍拡を危惧するグループは,PAC3配備がまさに憲法九条の問題だととらえてこれに対抗した.しかし今日の護憲勢力のメインストリームとされる全国各地の「九条の会」が,あるいはその系列の人々の多数が,この問題で動いたという話しを聞かない.
日米関係については,アーミテージ・リポートや,2007年のナイ・アーミテージ・リポートの核心を,非常に分かりやすい言葉で説明した.また,いわゆる「集団的自衛権」を「兄弟仁義の助っ人戦争」と言い換えた斎藤氏の言語力には敬服した.さすが,長年テレビメディアで錬磨された人ならでは,と思う.
ただ,斎藤氏が「条文改憲」の動きについて,これを「ありえない」と断言し,100%闘牛士の赤い布に過ぎないと決めつけたたのは問題だ.根拠の一つに世論調査の数字を挙げたが,これはメディアの作戦次第ではどうにでも動くだろう.北朝鮮がまたミサイルを数発撃つだけでもいいかも知れない.変わるときは変わるし,しかも恐るべきスピードで変わるのだ.
後半は「誰でもアピール」と称して,フロアから一人5分で多くの人が発言した.実は私は事前に「根回し」されていたので,準備したメモにしたがって,PAC3配備反対運動について話しをした.斎藤氏の批判にぴったり応える内容になっていたので,ちょっと満足.録音を計測すると,20秒オーバーで,まずまず時間も守ったことになる.
斎藤氏の講演は座席で録音したので,ここに置きます.多分主催者はやらないだろうから,もったいないので・・・.
http://ad9.org/people/AVfile/DM-10159.mp3
(高圧縮の録音をMP3に伸張したもので,音質は良くありません.そろそろ買い換え時期のよう.)
もったいないと言えば,これだけの有名人だから,宣伝次第ではもっとたくさんの,右から左まで,幅広い人を集められるはずだったと思う(眺めたところ200名弱).新聞折り込みが「赤旗」だけというのではどうしようもない.少なくとも「西日本」などの地方紙には折り込んで欲しかった.そのようなことにこそお金をかけるべきだろう.ネットでの事前宣伝もなかったようだ.ネット検索でこの催しは全く出てこない.
4日追記:読売が報道しています.
憲法記念日県内各地でも集会
また,低気温のエクスタシーが大幅に当ブログ記事を引用してくれています.
「外交改憲」の手法で憲法第9条を形骸化する流れが強まると思う

1と2は説明不要だが,3と4は聞き慣れない言葉だ.3は要するに憲法を無視した法律を作って,実質改憲してしまうこと,4は外国との「共同声明」などで,違憲の約束をしてしまうことだ.つまり特に新しい概念ではないが,このようにきちんと名前がつくと,その問題点がはっきりと「可視化」される.やはり言葉が重要だ.
斎藤氏は,護憲勢力は1の条文改憲にばかり目を奪われて,他の3つの「手口」によって実質改憲されている事態から,そして今後もそれが進められるだろうという危険の重大性から,視線が逸れていると批判した.
牛と闘牛士のたとえでこれを説明した.つまり,「九条改憲するぞ」というのは闘牛士がヒラヒラさせる赤い布であって,布に向かって突進し隠された剣に気付かない愚かな牛は,いずれその剣で頸椎をやられるというのだ(もうすでにかなりやられている).
これは,護憲勢力の状況を,あえて言えば間抜けさを,するどく言い当てた喩えではないかと思う.ちょっと我田引水になるが,われわれPネットなど「ミサイル防衛」と呼ばれる新たな軍拡を危惧するグループは,PAC3配備がまさに憲法九条の問題だととらえてこれに対抗した.しかし今日の護憲勢力のメインストリームとされる全国各地の「九条の会」が,あるいはその系列の人々の多数が,この問題で動いたという話しを聞かない.
日米関係については,アーミテージ・リポートや,2007年のナイ・アーミテージ・リポートの核心を,非常に分かりやすい言葉で説明した.また,いわゆる「集団的自衛権」を「兄弟仁義の助っ人戦争」と言い換えた斎藤氏の言語力には敬服した.さすが,長年テレビメディアで錬磨された人ならでは,と思う.
ただ,斎藤氏が「条文改憲」の動きについて,これを「ありえない」と断言し,100%闘牛士の赤い布に過ぎないと決めつけたたのは問題だ.根拠の一つに世論調査の数字を挙げたが,これはメディアの作戦次第ではどうにでも動くだろう.北朝鮮がまたミサイルを数発撃つだけでもいいかも知れない.変わるときは変わるし,しかも恐るべきスピードで変わるのだ.
後半は「誰でもアピール」と称して,フロアから一人5分で多くの人が発言した.実は私は事前に「根回し」されていたので,準備したメモにしたがって,PAC3配備反対運動について話しをした.斎藤氏の批判にぴったり応える内容になっていたので,ちょっと満足.録音を計測すると,20秒オーバーで,まずまず時間も守ったことになる.
斎藤氏の講演は座席で録音したので,ここに置きます.多分主催者はやらないだろうから,もったいないので・・・.
http://ad9.org/people/AVfile/DM-10159.mp3
(高圧縮の録音をMP3に伸張したもので,音質は良くありません.そろそろ買い換え時期のよう.)
もったいないと言えば,これだけの有名人だから,宣伝次第ではもっとたくさんの,右から左まで,幅広い人を集められるはずだったと思う(眺めたところ200名弱).新聞折り込みが「赤旗」だけというのではどうしようもない.少なくとも「西日本」などの地方紙には折り込んで欲しかった.そのようなことにこそお金をかけるべきだろう.ネットでの事前宣伝もなかったようだ.ネット検索でこの催しは全く出てこない.

憲法記念日県内各地でも集会
また,低気温のエクスタシーが大幅に当ブログ記事を引用してくれています.
「外交改憲」の手法で憲法第9条を形骸化する流れが強まると思う
「本土」の全自治体は,「基地受け入れ表明」か,それとも「普天間基地無条件撤去を政府に要求する」かの二者択一を迫られている
昨日のアイデアの拡張です.
「『県外』で名指しされた自治体の,論理的に正しい断り方とは?」
普天間基地の「移設」話と無関係の自治体であっても,沖縄差別の現状を黙認しないという「倫理性」を持とうとすれば,関係自治体と同様に,次の二つに一つの選択が,すなわち態度表明が求められているのではないでしょうか.
(1)基地を進んで受け入れる
(2)普天間基地の無条件撤去を政府に求める
第3の選択肢つまり沈黙は,沖縄差別の黙認・放置だいうことが数十年の歴史を経て今日,はっきりと意識される,目立つという状況が出来ています.このオポチュニティーを最大限に生かさなければなりません.
応援のクリック歓迎
私の提案はもちろん1ではなく,2の趣旨の決議をすべての自治体で挙げるという国民運動が可能であり,必要ではないかということです.
(もちろん1の立場からの運動もあり得ましょう.「差別反対」では共通ですし,むしろ歓迎します.なぜなら,もしそのような誘致決議がいくつか挙がれば,「県内移設」が根拠を失うことになるからです.)
「本土」の運動としては,集会やデモだけでなく(これもまだ少なすぎるし,規模も小さすぎますが),より実効性を持つ,形のあるものも追求するべきだと思います.それがあまりない,少なくとも目立つものがないような気がします.そのような運動の一つとして取り組むに値するものだと思いますが,いかがでしょうか.
それとも,「倫理性」は個人にだけ適用される概念でしょうか? たとえそうだとしても,自治体の構成員たる「個人」は,自分の所属する組織にそれを要求する「倫理」的責任があるのではないでしょうか.
「『県外』で名指しされた自治体の,論理的に正しい断り方とは?」
普天間基地の「移設」話と無関係の自治体であっても,沖縄差別の現状を黙認しないという「倫理性」を持とうとすれば,関係自治体と同様に,次の二つに一つの選択が,すなわち態度表明が求められているのではないでしょうか.
(1)基地を進んで受け入れる
(2)普天間基地の無条件撤去を政府に求める
第3の選択肢つまり沈黙は,沖縄差別の黙認・放置だいうことが数十年の歴史を経て今日,はっきりと意識される,目立つという状況が出来ています.このオポチュニティーを最大限に生かさなければなりません.
応援のクリック歓迎

私の提案はもちろん1ではなく,2の趣旨の決議をすべての自治体で挙げるという国民運動が可能であり,必要ではないかということです.
(もちろん1の立場からの運動もあり得ましょう.「差別反対」では共通ですし,むしろ歓迎します.なぜなら,もしそのような誘致決議がいくつか挙がれば,「県内移設」が根拠を失うことになるからです.)
「本土」の運動としては,集会やデモだけでなく(これもまだ少なすぎるし,規模も小さすぎますが),より実効性を持つ,形のあるものも追求するべきだと思います.それがあまりない,少なくとも目立つものがないような気がします.そのような運動の一つとして取り組むに値するものだと思いますが,いかがでしょうか.
それとも,「倫理性」は個人にだけ適用される概念でしょうか? たとえそうだとしても,自治体の構成員たる「個人」は,自分の所属する組織にそれを要求する「倫理」的責任があるのではないでしょうか.
筑後平野の「メンウイズヒル」
イギリス中部,リーズの北西30キロにあるイギリス空軍の「メンウイズヒル」(R.A.F Menwith Hill)は,グローバルな盗聴システム「エシェロン」の最大拠点だと言われています.そのいわばミニ版が,筑後平野の北の端にあります.「自衛隊大刀洗通信所」(→マップ)がそれで,都市ガスのタンクほどもある巨大なアンテナドームが6基,のどかな田園風景の中に林立しています.
「通信所」と称していますが,主な仕事は盗聴と思われるので,「信を通じる」というよりむしろ「信を損なう」活動と言うべきでしょうか.受信の対象は当然衛星も含まれるでしょうから,スターウオーズ計画(推進側の宣伝コピーは「ミサイル防衛」)にも密接に関係していると思われます.もし戦争になれば,真っ先に攻撃対象にされる恐れがあります.
県道593号南側のアンテナドーム.左にもう一基ある.(クリックで拡大.以下同じ)
「通信所」と称していますが,主な仕事は盗聴と思われるので,「信を通じる」というよりむしろ「信を損なう」活動と言うべきでしょうか.受信の対象は当然衛星も含まれるでしょうから,スターウオーズ計画(推進側の宣伝コピーは「ミサイル防衛」)にも密接に関係していると思われます.もし戦争になれば,真っ先に攻撃対象にされる恐れがあります.
