「ミサイル防衛」問題で菅英輝さんが講演,3月7日,福岡
私も世話人をしているPネットの講演会情報です.アメリカ政治外交分析の第一人者,菅英輝さんが話をします.Pネットのブログのリーフレットから文字を抜き出します.全体は次からダウンロードしてください.新聞記事など,情報が豊富です.
http://stop-pac3.blog.ocn.ne.jp/blog/files/7kaime.pdf
「オバマ新政権の世界戦略とミサイル防衛」
講師 菅英輝さん(西南学院大学教授)
日時 2009年3月7日(土),14時~16時
場所 早良市民センター・3階第1会議室→マップ
http://fco.sakura.ne.jp/hallinfo/hl-sawara.html
日本とチェコ・ポーランドに矢継ぎ早に配備されているミサイル防衛(MD)システム。
今年の秋には、いよいよ福岡県内3基地(芦屋・築城・高良台)に地上配備型迎撃ミサイル・PAC3が強行配備されようとしています。
世界金融危機のなか「チェンジ」を掲げて登場したオバマ新政権。ブッシュ前政権がおしすすめてきた「対テロ戦争」はどうなるのか。オバマ政権のもとでアメリカの世界戦略やミサイル防衛はどうなっていくのか。いま誰もが注目するこの問題を、アメリカの世界戦略の分析の第一人者である菅英輝さんが解き明かします。
http://stop-pac3.blog.ocn.ne.jp/blog/files/7kaime.pdf
「オバマ新政権の世界戦略とミサイル防衛」
講師 菅英輝さん(西南学院大学教授)
日時 2009年3月7日(土),14時~16時
場所 早良市民センター・3階第1会議室→マップ
http://fco.sakura.ne.jp/hallinfo/hl-sawara.html
日本とチェコ・ポーランドに矢継ぎ早に配備されているミサイル防衛(MD)システム。
今年の秋には、いよいよ福岡県内3基地(芦屋・築城・高良台)に地上配備型迎撃ミサイル・PAC3が強行配備されようとしています。
世界金融危機のなか「チェンジ」を掲げて登場したオバマ新政権。ブッシュ前政権がおしすすめてきた「対テロ戦争」はどうなるのか。オバマ政権のもとでアメリカの世界戦略やミサイル防衛はどうなっていくのか。いま誰もが注目するこの問題を、アメリカの世界戦略の分析の第一人者である菅英輝さんが解き明かします。
タープレイの「オバマ 危険な正体」を推薦します
読み終わりましたので2日の記事の続きを書きます.
まず,非常に勉強になった,というのが感想だ.アメリカの政治の構造,特にその裏側については,もちろんある程度の常識は持っていたつもりだったが,とても目を開かせられた.
まず,アメリカの大統領とは何か,どのように作られていくのか,という問題だ.当然資本家や「軍産複合体」からの強い圧力にさらされ,「世論」よりもそれらの意向に従っているのだろう,また,表向きにせよ暗黙にせよ,その推挙を受けてこそ大統領になれる・・・このようなことはほぼ常識とされているだろう.しかし現実はそれどころではないようだ.
カーターやクリントンなど,中央政界ではほとんど無名だった人物が突然現れて大統領になっていくのを見て,「アメリカとは,しがらみや年功に支配されない,いかにもダイナミックな国だ」などとナイーブにも考えたものだが,全くそうではないらしい.著者タープレイによれば,カーターにしても,金融寡頭勢力を中心とした連中がはじめからお膳立てをして,彼をいわば俳優として選んだというのが実態だとする.なるほどそれで合点が行く.アメリカの政治を専門に研究する人にとっては,おそらくこのようなことは「常識」なのだろう.
そのような観点からオバマ大統領成立の経緯を分析し,その背後に金融寡頭勢力と,そのイデオロギー体現者としてネオコンに代わって再登場したブレジンスキーの問題を暴いている.再登場というのは,彼がカーター政権の重要人物だったからだ.
簡単に言うと,オバマ政権の黒幕であるブレジンスキーは「嫌ロシア」の報復主義者・謀略家であり核戦争も辞さない危険な人物であるとの主張だ.なるほどと思わせる部分を,少し長いが引用する.
そして彼ら「ブレジンスキー勢力」はファシズムを再現しようとしているとする.したがってファシズムとは何か,それは今日どのようにして引き起こされるのかという議論がこの本の大部分を占める.59ページの小見出し「銀行家による大衆運動としてのファシズム」は,有名なディミトロフの「金融資本のテロ独裁」というファシズムの定義を連想させる.
帝国主義による他国政府を転覆する手段の一つとして,投票の際の「出口調査」があるというのは驚く.勝手に数字を操作して「不正選挙だ」と騒いで動乱を引き起こすというのだ.なるほど「賢い」.
クシニッチも,自分が候補から撤退しオバマを支持したこと,これに関連して,オバマ当選の戦術上の配慮からブッシュ弾劾を事実上撤回してしまったことを批判されている.
アメリカによる他国干渉の手段として,「米国民主主義基金」(the National Endowment for Democracy, NED)だけでなく,アルバート・アインシュタイン研究所とその主宰者であるジーン・シャープ博士をやり玉に挙げている.後者は,民衆の「非暴力抵抗」のための調査研究など学問的な貢献をしている団体だが,これがなんと「大衆クーデターを画策する諸機関」という節の筆頭に挙げられている(p.269).しかしこれは問題だ.
ネット上で,日本人では田中宇氏など,ジーン・シャープ氏に対するこのような非難が多く見られるとのことだが,実はこれには多くの著名な学者が反論の「公開書簡」を出している.
Open Letter in Support of Gene Sharp and Strategic Nonviolent Action
署名者にはチョムスキーや,「市民的抵抗」(新教出版)の著者,イギリスのマイケル・ランドル氏,それにスエーデン・ゴーテボルグ大学のStellan Vinthagen氏が含まれる.後二者はファスレーン365の「大学人による封鎖」の仲間だ.(Stellanさんにこのウェブサイトが本物だと確かめた.)
このほかにも,繰り返しが多かったり,根拠や読者に検証手段を示さない断定があったり*,難点はあるが,それはマイナーな問題と見なすことが出来る.だた,「ブレジンスキー万能論」とも言えそうな,少し見方が極端なような気もする.また,最後の「民主化という名のファシズム」の章はあまり理解できなかった.
前回と同じように,気になるフレーズを少しだけ抜粋し,そのあとこれから漏れたキーワードを並べる.(カッコ内はページ数)
キーワード,カッコ内はページ数
X世代とファシズム(101),アフマドフ(158),レンタル暴徒,カラー革命(160),ブリティッシュ・カウンシル(251),世論調査,出口調査(276)
----------
* 一例としては86ページの「地球温暖化の圧倒的な原因は,太陽活動の変化によるものであるにもかかわらず」との一節が挙げられる.自然科学者でもない著者が,専門家にとっても非常に複雑な問題について「断言」できるとは考えにくい.
まず,非常に勉強になった,というのが感想だ.アメリカの政治の構造,特にその裏側については,もちろんある程度の常識は持っていたつもりだったが,とても目を開かせられた.
まず,アメリカの大統領とは何か,どのように作られていくのか,という問題だ.当然資本家や「軍産複合体」からの強い圧力にさらされ,「世論」よりもそれらの意向に従っているのだろう,また,表向きにせよ暗黙にせよ,その推挙を受けてこそ大統領になれる・・・このようなことはほぼ常識とされているだろう.しかし現実はそれどころではないようだ.
カーターやクリントンなど,中央政界ではほとんど無名だった人物が突然現れて大統領になっていくのを見て,「アメリカとは,しがらみや年功に支配されない,いかにもダイナミックな国だ」などとナイーブにも考えたものだが,全くそうではないらしい.著者タープレイによれば,カーターにしても,金融寡頭勢力を中心とした連中がはじめからお膳立てをして,彼をいわば俳優として選んだというのが実態だとする.なるほどそれで合点が行く.アメリカの政治を専門に研究する人にとっては,おそらくこのようなことは「常識」なのだろう.
そのような観点からオバマ大統領成立の経緯を分析し,その背後に金融寡頭勢力と,そのイデオロギー体現者としてネオコンに代わって再登場したブレジンスキーの問題を暴いている.再登場というのは,彼がカーター政権の重要人物だったからだ.
簡単に言うと,オバマ政権の黒幕であるブレジンスキーは「嫌ロシア」の報復主義者・謀略家であり核戦争も辞さない危険な人物であるとの主張だ.なるほどと思わせる部分を,少し長いが引用する.
(ヌーヴェル・オプセルヴァトゥール,99年1月の記事からの引用として)
記者/旧ソ連が,事前にアメリカによるアフガニスタン内部における秘密工作があり,旧ソ連はその挑発に応じただけだと侵攻を正当化したとき,誰も信じなかった.しかしながら,彼らの言い分には根拠があったわけだ.この点について,後悔はないか?
ブレジンスキー/何に対する後悔?あの秘密作戦はすばらしいアイデアだった.旧ソ連をアフガニスタンという罠にまんまとはめることができたのだ.何を後悔しろというのか?旧ソ連が正式に国境を越えたとき,私はカーター大統領に書信を送った.「我々はこれで,ソ連にベトナム戦争の苦しみを味あわせてやることができます」とね.(中略)結果的にソ連邦の崩壊を招いたのだ.(p.197)
そして彼ら「ブレジンスキー勢力」はファシズムを再現しようとしているとする.したがってファシズムとは何か,それは今日どのようにして引き起こされるのかという議論がこの本の大部分を占める.59ページの小見出し「銀行家による大衆運動としてのファシズム」は,有名なディミトロフの「金融資本のテロ独裁」というファシズムの定義を連想させる.
帝国主義による他国政府を転覆する手段の一つとして,投票の際の「出口調査」があるというのは驚く.勝手に数字を操作して「不正選挙だ」と騒いで動乱を引き起こすというのだ.なるほど「賢い」.
クシニッチも,自分が候補から撤退しオバマを支持したこと,これに関連して,オバマ当選の戦術上の配慮からブッシュ弾劾を事実上撤回してしまったことを批判されている.
アメリカによる他国干渉の手段として,「米国民主主義基金」(the National Endowment for Democracy, NED)だけでなく,アルバート・アインシュタイン研究所とその主宰者であるジーン・シャープ博士をやり玉に挙げている.後者は,民衆の「非暴力抵抗」のための調査研究など学問的な貢献をしている団体だが,これがなんと「大衆クーデターを画策する諸機関」という節の筆頭に挙げられている(p.269).しかしこれは問題だ.
ネット上で,日本人では田中宇氏など,ジーン・シャープ氏に対するこのような非難が多く見られるとのことだが,実はこれには多くの著名な学者が反論の「公開書簡」を出している.
Open Letter in Support of Gene Sharp and Strategic Nonviolent Action
署名者にはチョムスキーや,「市民的抵抗」(新教出版)の著者,イギリスのマイケル・ランドル氏,それにスエーデン・ゴーテボルグ大学のStellan Vinthagen氏が含まれる.後二者はファスレーン365の「大学人による封鎖」の仲間だ.(Stellanさんにこのウェブサイトが本物だと確かめた.)
このほかにも,繰り返しが多かったり,根拠や読者に検証手段を示さない断定があったり*,難点はあるが,それはマイナーな問題と見なすことが出来る.だた,「ブレジンスキー万能論」とも言えそうな,少し見方が極端なような気もする.また,最後の「民主化という名のファシズム」の章はあまり理解できなかった.
前回と同じように,気になるフレーズを少しだけ抜粋し,そのあとこれから漏れたキーワードを並べる.(カッコ内はページ数)
(ルカーチの引用)とりわけ哲学者の責任は大きい.哲学者は,発達する社会で理性が実際に果たす役割に応じて,理性の存在と発展を監視する役割を担っているからだ.(82)
ファシズムは常に,若者たちの運動という形を取りやすい.したがって現在の状況では,大学の知識人たちが徹底した反ファシズムの姿勢を見せることが何よりも重要なのである.(83)
ブレジンスキー勢力は・・・はるかに大きな広がりを持っている.「勢力」と呼ぶのは,アメリカの情報機関内で左派もしくは中道寄りの姿勢を示す人々全体を抱き込んでいるからだ.したがってブレジンスキー勢力には,CIAの戦略的左派が含まれる.(122)
キーワード,カッコ内はページ数
X世代とファシズム(101),アフマドフ(158),レンタル暴徒,カラー革命(160),ブリティッシュ・カウンシル(251),世論調査,出口調査(276)
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* 一例としては86ページの「地球温暖化の圧倒的な原因は,太陽活動の変化によるものであるにもかかわらず」との一節が挙げられる.自然科学者でもない著者が,専門家にとっても非常に複雑な問題について「断言」できるとは考えにくい.
ガザに連帯してイギリスで大学占拠
イギリスの学生の,ガザの人々に連帯する活動が広がっています.OPEN ANTHROPOLOGYというサイトに,イギリスの16の大学での学生による大学占拠の報道がリンクされています.
SIXTEEN BRITISH UNIVERSITIES OCCUPIED IN SOLIDARITY WITH GAZA: Three Thousand Cheers for Student Protest!
そのうちの最新のものをここにコピーします.
Storm of student protest over Gaza gathers force
Sit-ins at 16 universities spell return to radicalism, fuelled by social networking and blogs
Anthea Lipsett & Alison Benjamin guardian.co.uk, Friday 23 January 2009
いろいろたどって,そのうちの一つ,当事者であるストラスクライド大学占拠学生のブログを見つけました.
http://strathclydeunioccupation.wordpress.com/2009/02/05/students-march-out-victorious/
そこの2月5日付けの「勝利宣言」を概訳してみます.
そもそもこのようなニュースを知ることになったのは,ブログ「マスコミに載らない海外記事」の,ケンブリッジ大学法学部を占拠した学生へのある学者の演説を紹介した次の記事です.
中央アジアにおけるアメリカの戦争

イギリスの学生と言えば,以前の記事で紹介した「ファスレーン365」のイベントに参加した学生を思い出します.きっと彼らのうち何人かは,この行動にも参加しているのでしょう.
(この項追記予定)
---------
** 飲用水関係の企業.イスラエルとの関係で倫理的問題を追及されている模様.
*世界有数の防衛航空宇宙企業.旧ブリティッシュ・エアロスペース社.
SIXTEEN BRITISH UNIVERSITIES OCCUPIED IN SOLIDARITY WITH GAZA: Three Thousand Cheers for Student Protest!
そのうちの最新のものをここにコピーします.
Storm of student protest over Gaza gathers force
Sit-ins at 16 universities spell return to radicalism, fuelled by social networking and blogs
Anthea Lipsett & Alison Benjamin guardian.co.uk, Friday 23 January 2009
いろいろたどって,そのうちの一つ,当事者であるストラスクライド大学占拠学生のブログを見つけました.
http://strathclydeunioccupation.wordpress.com/2009/02/05/students-march-out-victorious/
そこの2月5日付けの「勝利宣言」を概訳してみます.
学生ら勝利の行進
終夜の大学占拠の結果,アンドリュー・ハムネット学長は次のことを容認した.
1.運転の理由でも,イーデン・スプリングス社**に今後一切発注しない.[8日訂正]
2.Funds for 1-3 scholarships.
3.学生と大学当局とで協力して,ガザ・アピールを大学のウェブサイトに掲示する.
4.ガザ大学との長い交流関係を再確認する新聞発表を行う.
われわれはまた,BAEシステムズ*と反戦活動家学生との公開討論の場を大学が提供するという約束も取り付けた.これは,兵器産業の倫理的上の信用問題 (?? the weapons manufacturers’ ethical credentials) と,われわれ工科系学生の能力がBAEの利益のために使われていいのかという問題について議論するためのものだ.
われわれはこれを勝利とみなし,すでにこれを祝って大学一週の行進をした.われわれは意気軒昂であると同時に疲れており,来るべき戦いを見据えている.戦いは,BAEをストラスクライドから追放し,パレスチナ人の自由と正義が確保されるまで続く.
今日われわれは,最後の勝利への小さな一歩を進めた.
絶えざる連帯の気持ちで
ストラスクライド大学占拠グループ
そもそもこのようなニュースを知ることになったのは,ブログ「マスコミに載らない海外記事」の,ケンブリッジ大学法学部を占拠した学生へのある学者の演説を紹介した次の記事です.
中央アジアにおけるアメリカの戦争

イギリスの学生と言えば,以前の記事で紹介した「ファスレーン365」のイベントに参加した学生を思い出します.きっと彼らのうち何人かは,この行動にも参加しているのでしょう.
(この項追記予定)
---------
** 飲用水関係の企業.イスラエルとの関係で倫理的問題を追及されている模様.
*世界有数の防衛航空宇宙企業.旧ブリティッシュ・エアロスペース社.
新刊本「オバマ 危険な正体」
中南米の左派の政治家までがオバマに多少の期待を表明するほどに,世界的にもオバマが好意的に受け取られている.しかしメディアの持ち上げ方や大衆的熱狂は明らかに「何かある」と思わせる要素がある.確かにグアンタナモの閉鎖は打ち出したが,アフガン戦争は続けると言うし,イスラエルによるガザの大量虐殺にも目をつぶり,逆にイスラエル支持を表明した.
要するに,ひいき目なしに見ればこれまでの歴代の大統領と大して変わらない保守派の一人に過ぎないのだが,それにしては左派やリベラルも含めて--私自身もそうだったが--「期待感」が大きすぎる.これはむしろ危険な兆候かも知れない.それは,いずれ失望するときのショックが大きいからというのではなく,もっと深刻な問題を含むかも知れない.
このような問題意識に答えてくれそうな本を読み始めた.アメリカのジャーナリスト,グリフィン・タープレイ(Tarpley,Webster Griffin)の,「オバマ 危険な正体」という本だ.ただ,よく知らないのだけれど,訳者がちょっといかがわしいという印象が・・・.
まだ読み始めたばかりなので,いずれ読み終わってまた書くとして,これまで目にした刺激的な,あるいは示唆的なフレーズを拾ってみると・・・
(ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーについて)「この二社は,ロンドン,ニューヨーク,その他の金融中心地の商品市場における過去1年間の投機的取引の半分を取り仕切っており,2007年7月から08年7月の間に原油1バレル当たりの価格を倍増させ・・・」(p.41)
「肉体的勇気はどこにでもある.しかし真の勇気は希にしか見かけない.」(p.45)
(オバマ旋風は)「反動的な老齢軍人による軍事クーデターではなく,口のうまい中道左派の若い民衆扇動家が導く,熱狂的な若者の大群に支えられた,左翼的,革新主義的な色合いを持つクーデターだ.」(p.51)
(オバマのアドバイザー,側近の名前を挙げて)「この2000年の大統領選挙の貴重な教訓は,『実績も功績もない人物の力強い約束など,その候補者の後ろに控える側近,アドバイザー,支配者,後援者を丁寧に調べれば吹き飛んでしまう』ということだ.」(p.56)
「研究者の多くはファシズムの完成形である警察国家独裁主義に注目しているが,今日の私たちは,ファシズム発生当時の状況にとりわけ注目し,理解しなければならない.ファシズムのはじまりは,銀行家たちが扇動して形づくったボトムアップ型の大衆運動だ.」(p.60)
(オバマ旋風はファシズムのはじまりと論じて)「要するに,人々がファシズムの本質に気づき,眉をひそめるのは,体制が確立し,自らが犠牲になってからだということだ.初期の段階のファシズムは,信じやすい人々にとって胸が躍るような運動だった.」(p.65)
「オバマは2004年にイランとパキスタンを爆撃するように求め,イラクからの即時撤退を求めるケリー議員の法案に賛成するのを拒否した.2007年には再びパキスタンを爆撃するように求めている.こうして見ると,民主党内でもっとも攻撃的かつ好戦的,向こう見ずな発言をしている人物だとわかる.皮肉なことに,オバマのまやかしに騙されている支持者たちは,この明白な事実を理解できていない.」(p.87)
追記:ブッシュがあまりにもひどかったし,それが政権末期にはあまりにもはっきりして来たので,それとの対比効果でオバマが高く売れたということだろう.小泉政権誕生もよく似ている.森首相の人気がひどく低下していたときに,「革新的」かつ「過激」な装いで小泉が登場し,多くの人が熱狂した.その結果「改革ファシズム」を引き起こし,今日の惨状をもたらすことになった.この経験と比較対象することも重要だろう.
要するに,ひいき目なしに見ればこれまでの歴代の大統領と大して変わらない保守派の一人に過ぎないのだが,それにしては左派やリベラルも含めて--私自身もそうだったが--「期待感」が大きすぎる.これはむしろ危険な兆候かも知れない.それは,いずれ失望するときのショックが大きいからというのではなく,もっと深刻な問題を含むかも知れない.

まだ読み始めたばかりなので,いずれ読み終わってまた書くとして,これまで目にした刺激的な,あるいは示唆的なフレーズを拾ってみると・・・
(ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーについて)「この二社は,ロンドン,ニューヨーク,その他の金融中心地の商品市場における過去1年間の投機的取引の半分を取り仕切っており,2007年7月から08年7月の間に原油1バレル当たりの価格を倍増させ・・・」(p.41)
「肉体的勇気はどこにでもある.しかし真の勇気は希にしか見かけない.」(p.45)
(オバマ旋風は)「反動的な老齢軍人による軍事クーデターではなく,口のうまい中道左派の若い民衆扇動家が導く,熱狂的な若者の大群に支えられた,左翼的,革新主義的な色合いを持つクーデターだ.」(p.51)
(オバマのアドバイザー,側近の名前を挙げて)「この2000年の大統領選挙の貴重な教訓は,『実績も功績もない人物の力強い約束など,その候補者の後ろに控える側近,アドバイザー,支配者,後援者を丁寧に調べれば吹き飛んでしまう』ということだ.」(p.56)
「研究者の多くはファシズムの完成形である警察国家独裁主義に注目しているが,今日の私たちは,ファシズム発生当時の状況にとりわけ注目し,理解しなければならない.ファシズムのはじまりは,銀行家たちが扇動して形づくったボトムアップ型の大衆運動だ.」(p.60)
(オバマ旋風はファシズムのはじまりと論じて)「要するに,人々がファシズムの本質に気づき,眉をひそめるのは,体制が確立し,自らが犠牲になってからだということだ.初期の段階のファシズムは,信じやすい人々にとって胸が躍るような運動だった.」(p.65)
「オバマは2004年にイランとパキスタンを爆撃するように求め,イラクからの即時撤退を求めるケリー議員の法案に賛成するのを拒否した.2007年には再びパキスタンを爆撃するように求めている.こうして見ると,民主党内でもっとも攻撃的かつ好戦的,向こう見ずな発言をしている人物だとわかる.皮肉なことに,オバマのまやかしに騙されている支持者たちは,この明白な事実を理解できていない.」(p.87)
追記:ブッシュがあまりにもひどかったし,それが政権末期にはあまりにもはっきりして来たので,それとの対比効果でオバマが高く売れたということだろう.小泉政権誕生もよく似ている.森首相の人気がひどく低下していたときに,「革新的」かつ「過激」な装いで小泉が登場し,多くの人が熱狂した.その結果「改革ファシズム」を引き起こし,今日の惨状をもたらすことになった.この経験と比較対象することも重要だろう.
NATOの元将軍トライデント更新に反対
メールリストabolition-japanに渡植貞一郎さんが紹介されたニュースです.イギリスの核廃絶に希望を持たせてくれます.渡植さんの訳を一部編集して紹介します.
英国の元将軍,トライデント更新の再考を求める
(General calls for Trident rethink)
Story from BBC NEWS, Published: 2009/01/29 17:52:59 GMT
退役NATO司令官が、英国はトライデント武装体系を放棄し、核軍縮で指導性を発揮するべきだと、語った。
ジャック・シーハン将軍は、イギリスによる核兵器の放棄は「非常に近い」と考える、と語った。
彼のコメントは、トライデント・システム更新の再考に関する他の退役軍人たちの要望に続くものだ。
トライデント・システム更新の支持者は、英国による独自の核兵器備蓄は、まだ、不可欠だと言う。
潜水艦、ミサイル、および核弾頭で構成されれるトライデント・システムは、2020年代に予定終了期日を迎える。
トニー・ブレアー前首相は、2006年にシステム更新にゴーサインをだした。
NATOの元大西洋軍最高司令官シーハン将軍は、BBCラジオ4のワールド・トウナイト番組で次のように語った。
「きわめて近いうちに、英国が最初に核兵器を放棄する国連常任理事国になる宣言をすると、私は考えている。英国政府は、多くの確かな根拠に基づき、そうすることができるし、世界を主導することが、完全に可能だと考える。」
シーハン将軍は、そうなれば国際社会に重要なインパクトを与えると、次のように語った。
「そうなればとたんに、何故フランスが核システムを保有しているのかが問題になるだろう。また、米国とロシアが、現在の核態勢の路線変更をして、対話構築の方向に向かわせるはずみとなる。」
しかし、彼はまた、このような変革を起こすのには、勇気のある政治行動が必要だと、語った。
BBCの安全保障問題担当記者のゴードン・コアラによれば、トライデントが老朽化しているので、それをどうするか決定しなければならないという。
費用
BBC記者は英国の核軍縮の可能性について、次のように語った。
「批判的な論者は、核軍縮は英国の安全性が低くなったと思わせるリスクをともない、しかも国際的なインパクトはほとんどない、と主張する。支持者たちは、核兵器の非合法化を支援し、核兵器獲得を目指す国家の風潮を食い止められるるかもしれない、たとえば、(核保有国は)ダブルスタンダードだという、イランのクレームを封じ込められる、と言う。」
シーハン将軍の発言には、他の退役高級軍人たちからも賛同の声が寄せられている。たとえば、陸軍元帥ブラモール卿、将軍ヒュー・ビーチ卿によれば、核兵器は高価過ぎ、しかもほとんど役に立たないという。
また、将軍ラムスボタム卿は、200億ポンドという莫大な支出は問題視されるべきだと、BBCに語った。
英国の元将軍,トライデント更新の再考を求める
(General calls for Trident rethink)
Story from BBC NEWS, Published: 2009/01/29 17:52:59 GMT
退役NATO司令官が、英国はトライデント武装体系を放棄し、核軍縮で指導性を発揮するべきだと、語った。
ジャック・シーハン将軍は、イギリスによる核兵器の放棄は「非常に近い」と考える、と語った。
彼のコメントは、トライデント・システム更新の再考に関する他の退役軍人たちの要望に続くものだ。
トライデント・システム更新の支持者は、英国による独自の核兵器備蓄は、まだ、不可欠だと言う。
潜水艦、ミサイル、および核弾頭で構成されれるトライデント・システムは、2020年代に予定終了期日を迎える。
トニー・ブレアー前首相は、2006年にシステム更新にゴーサインをだした。
NATOの元大西洋軍最高司令官シーハン将軍は、BBCラジオ4のワールド・トウナイト番組で次のように語った。
「きわめて近いうちに、英国が最初に核兵器を放棄する国連常任理事国になる宣言をすると、私は考えている。英国政府は、多くの確かな根拠に基づき、そうすることができるし、世界を主導することが、完全に可能だと考える。」
シーハン将軍は、そうなれば国際社会に重要なインパクトを与えると、次のように語った。
「そうなればとたんに、何故フランスが核システムを保有しているのかが問題になるだろう。また、米国とロシアが、現在の核態勢の路線変更をして、対話構築の方向に向かわせるはずみとなる。」
しかし、彼はまた、このような変革を起こすのには、勇気のある政治行動が必要だと、語った。
BBCの安全保障問題担当記者のゴードン・コアラによれば、トライデントが老朽化しているので、それをどうするか決定しなければならないという。
費用
BBC記者は英国の核軍縮の可能性について、次のように語った。
「批判的な論者は、核軍縮は英国の安全性が低くなったと思わせるリスクをともない、しかも国際的なインパクトはほとんどない、と主張する。支持者たちは、核兵器の非合法化を支援し、核兵器獲得を目指す国家の風潮を食い止められるるかもしれない、たとえば、(核保有国は)ダブルスタンダードだという、イランのクレームを封じ込められる、と言う。」
シーハン将軍の発言には、他の退役高級軍人たちからも賛同の声が寄せられている。たとえば、陸軍元帥ブラモール卿、将軍ヒュー・ビーチ卿によれば、核兵器は高価過ぎ、しかもほとんど役に立たないという。
また、将軍ラムスボタム卿は、200億ポンドという莫大な支出は問題視されるべきだと、BBCに語った。