15年前の「政権交代」から学ぶもの
今度の衆院選で起こりうる政権交代に当然のことながら期待が高まっている.しかし問題はその中味である.この際,過去の例をレビューすることは有意義と思う.
自民党結党以後の初めての政権交代は,1993年の細川内閣によるものである(非自民・非共産連立政権).しかし問題の小選挙区制は,この内閣と,それに続く村山内閣(当時の社会党党首)によってもたらされた.
この小選挙区制度がその後の日本の政治シーンにどれほどの悪影響をもたらしたかは今や明かだろう.
「週刊金曜日」最新号(10月3日号)に,渡辺治氏の「麻生政権の本当の狙い」と題する2ページの文章がある.その最後から2番目のパラグラフを引用しよう.
「政権交代で海外派兵恒久化」とならないためにも,過去の過ちを繰り返してはならないと思う.リベラル系ブロガーに見られる一面的な小沢礼賛は危険であり,民主党にクギを刺すことこそ重要である.そして,渡辺治氏の言うように,民主一人勝ちは,ひょっとすると自民政権の継続よりも危険かも知れない.共産,社民両党の責任はもちろん重大であり,またリベラル系ブロガーの見識がためされると思う.
自民党結党以後の初めての政権交代は,1993年の細川内閣によるものである(非自民・非共産連立政権).しかし問題の小選挙区制は,この内閣と,それに続く村山内閣(当時の社会党党首)によってもたらされた.
1993年8月5日 細川内閣
翌年,小選挙区比例代表並立制 成立
1994年4月28日 羽田内閣
1994年6月30日 村山内閣
11月21日 区割り法案成立
この小選挙区制度がその後の日本の政治シーンにどれほどの悪影響をもたらしたかは今や明かだろう.
「週刊金曜日」最新号(10月3日号)に,渡辺治氏の「麻生政権の本当の狙い」と題する2ページの文章がある.その最後から2番目のパラグラフを引用しよう.
自公が過半数を握れなければ,麻生内閣は終わりだ.民主党中心政権ができるが,その場合も,共産党や社民党が前進し,これらの政党抜きには民主党が過半数を取れない状況になるのか,それとも共産党抜きでも民主党が過半数を獲得できるかで事態は大きく異なる.前者の場合は,後期高齢者医療制度の廃止を始め構造改革に重大な打撃を与えることができるばかりか,民主党が自衛隊の海外派兵に動くことも難しくなる.しかし,後者の場合には,自衛隊の派兵や構造改革に歯止めをかけることは困難になること必定である.
「政権交代で海外派兵恒久化」とならないためにも,過去の過ちを繰り返してはならないと思う.リベラル系ブロガーに見られる一面的な小沢礼賛は危険であり,民主党にクギを刺すことこそ重要である.そして,渡辺治氏の言うように,民主一人勝ちは,ひょっとすると自民政権の継続よりも危険かも知れない.共産,社民両党の責任はもちろん重大であり,またリベラル系ブロガーの見識がためされると思う.
スト情報を流さないイタリアのテレビ
イタリア関係でもう一つ.学会場となった小さな町カスティリオンチェッロからフィレンツェに移る予定の日に,国鉄がストを予定していることが判明した.あわててバスなどの代替手段を考えようと,バス停の時刻表を写真に撮って,どれに乗ればいいかホテルの人に聞こうと思った.ところが,乗り換えの接続が悪い,行けないなどと言ってほとんど真剣に取り合ってくれない.
国鉄の駅は無人駅で,切符は駅前の売店が売っているので,そこにストがどうなったか聞いてみると,「ラジオが中止とか言っていたような気がする」という,いい加減な応対だ.切符を売る仕事をしているなら,そんな情報はちゃんとつかんでくれよ,と言いたいが,どうやらこれがこちらの標準らしい.
そこで売店で仕入れたこの情報をホテルの受付に持って行くと,「いや,多分ストはあるだろう」と,調べもしないで言う.「じゃあ出発を早めて,列車が動くうちに引き上げるので,今日の宿泊をキャンセルしたい」と言うと,ようやく電話をかけて調べ始め,スト中止が判明した.もう,まったく・・・.
不思議なのは,こんな重要な,特に旅行者にとっては死活的な情報を,テレビが全く報道しないことだ.いったいどうなっているのか・・・.
ホテルや駅前の売店の経験は,たまたま接した人の個性によるものかも知れない.しかし一般にヨーロッパに行くと日本のサービス業がいかに懇切丁寧で行き届いているかということが分かる.でも,だからと言って日本が良くてヨーロッパがダメと言うことも出来ない.つまり,少なくとも働く側の立場からすれば,日本に較べてヨーロッパの方が逆にはるかにいいのだ.みなゆったりと仕事をしているし,接客態度も堂々としている.労働時間もはるかに短いはずだ.「カローシ」という言葉が生まれる国とは大違い.
どうしてこのような違いが出来るのか考えてみると,この国日本では,個々人の消費者,サービスの受け手としての側面ばかりが強調され,生産者,労働者としての側面が軽視されていることに大きな原因があるのではないだろうか.働かなくても不自由なく暮らしていける人は別として,ほとんどだれでも働かなければならず,したがってこの二つの面を持っているのだが,なぜか前者ばかり強調され,後者はほとんど無視される.消費者の立場に立てば,店はいつでも開いていた方がいいし,窓口の行列は短いほどいい.しかし,それを実現するには,労働者は長時間,忙しく働かなければならない.
この二つの側面が切り離されてしまって,両方とも「自分のこと」なのだということを,なぜか忘れるようにし向けられているのではないか.要は,この二つの間のバランスこそ重要なのだ.
国鉄の駅は無人駅で,切符は駅前の売店が売っているので,そこにストがどうなったか聞いてみると,「ラジオが中止とか言っていたような気がする」という,いい加減な応対だ.切符を売る仕事をしているなら,そんな情報はちゃんとつかんでくれよ,と言いたいが,どうやらこれがこちらの標準らしい.そこで売店で仕入れたこの情報をホテルの受付に持って行くと,「いや,多分ストはあるだろう」と,調べもしないで言う.「じゃあ出発を早めて,列車が動くうちに引き上げるので,今日の宿泊をキャンセルしたい」と言うと,ようやく電話をかけて調べ始め,スト中止が判明した.もう,まったく・・・.
不思議なのは,こんな重要な,特に旅行者にとっては死活的な情報を,テレビが全く報道しないことだ.いったいどうなっているのか・・・.
ホテルや駅前の売店の経験は,たまたま接した人の個性によるものかも知れない.しかし一般にヨーロッパに行くと日本のサービス業がいかに懇切丁寧で行き届いているかということが分かる.でも,だからと言って日本が良くてヨーロッパがダメと言うことも出来ない.つまり,少なくとも働く側の立場からすれば,日本に較べてヨーロッパの方が逆にはるかにいいのだ.みなゆったりと仕事をしているし,接客態度も堂々としている.労働時間もはるかに短いはずだ.「カローシ」という言葉が生まれる国とは大違い.
どうしてこのような違いが出来るのか考えてみると,この国日本では,個々人の消費者,サービスの受け手としての側面ばかりが強調され,生産者,労働者としての側面が軽視されていることに大きな原因があるのではないだろうか.働かなくても不自由なく暮らしていける人は別として,ほとんどだれでも働かなければならず,したがってこの二つの面を持っているのだが,なぜか前者ばかり強調され,後者はほとんど無視される.消費者の立場に立てば,店はいつでも開いていた方がいいし,窓口の行列は短いほどいい.しかし,それを実現するには,労働者は長時間,忙しく働かなければならない.
この二つの側面が切り離されてしまって,両方とも「自分のこと」なのだということを,なぜか忘れるようにし向けられているのではないか.要は,この二つの間のバランスこそ重要なのだ.
福岡で4日に,環境,平和,大学のありかたなどをテーマとするシンポジウム
直前ですが,今度の土曜(4日),福岡で,「日本科学者会議」という,主に大学の教員などがメンバーの組織が,公開シンポジウムを開きます.話題は環境,平和,そして大学のありかたと,幅広いものです.興味を持たれたらどうぞご参加下さい.場所は,九州大学六本松キャンパスの5号館510号教室です.地下鉄駅が門の前で,とても便利です.
詳しくは,同シンポのウェブサイトをご覧下さい.
http://meg.cube.kyushu-u.ac.jp/~miyoshi/jsa_symposium.html
シンポジウムプログラム
10月4日(土)「21世紀の九州沖縄の環境・平和について考える」
開会の挨拶(13時〜13時5分) 杉浦 實氏(九州大名誉教授)
第1部 九州の環境問題(13時5分〜15時15分) 司会:河内 俊英氏(久留米大)
1−1)小玉 直也氏(赤江浜を守る会,ひむかの砂浜復元ネットワーク)
「宮崎の海岸の行方」
1−2)川野 田實夫氏(大分大)
「環境NPOと連携した環境教育の実践ー大分大学での教養教育『大野川の場合』ー」
1−3)馬奈木 昭雄弁護団長(有明訴訟)
「佐賀地方裁判所による開門命令判決と有明海再生の展望」
第2部 基地問題と日本の将来(15時30分〜18時) 司会:豊島 耕一氏(佐賀大)
2−1)亀山 統一氏(琉球大)
「『日米同盟の変革』で激変する沖縄・九州の基地問題」
2−2)冨塚 明氏(長崎大)
「『ミサイル防衛』ーその虚構と現実ー」
2−3)木村 朗氏(鹿児島大)
「9.11事件以後の世界と日本の選択」
懇親会 (18時30分〜20時)六文銭(電話:092-712-1536)
10月5日(日)「科学と教育をめぐる現状と課題」
第3部 大学のあるべき姿(9時〜10時30分) 司会:岡本 良治氏(九州工大)
3−1)益川 敏英氏(京都産業大)
「今、大学に何が求められているのか」
第4部 大学の現状と課題(10時40分〜12時40分) 司会:鈴木 右文氏(九州大)
4−1)小早川 義尚氏(九州大)
「九州大の教員人件費管理問題の実情」
4−2)堺 英二郎氏(琉球大)
「琉球大の現状と問題点」
4−3)木村 浩則氏(熊本大)
「国立大学における『公共性の喪失』ー熊本大学の事例からー」
4−4)野中 善政氏(宮崎大)
「運営費交付金削減は国立大学にどのような影響を及ぼすかー宮崎大学財務諸表の分析に基づいてー」
詳しくは,同シンポのウェブサイトをご覧下さい.
http://meg.cube.kyushu-u.ac.jp/~miyoshi/jsa_symposium.html
シンポジウムプログラム
10月4日(土)「21世紀の九州沖縄の環境・平和について考える」
開会の挨拶(13時〜13時5分) 杉浦 實氏(九州大名誉教授)
第1部 九州の環境問題(13時5分〜15時15分) 司会:河内 俊英氏(久留米大)
1−1)小玉 直也氏(赤江浜を守る会,ひむかの砂浜復元ネットワーク)
「宮崎の海岸の行方」
1−2)川野 田實夫氏(大分大)
「環境NPOと連携した環境教育の実践ー大分大学での教養教育『大野川の場合』ー」
1−3)馬奈木 昭雄弁護団長(有明訴訟)
「佐賀地方裁判所による開門命令判決と有明海再生の展望」
第2部 基地問題と日本の将来(15時30分〜18時) 司会:豊島 耕一氏(佐賀大)
2−1)亀山 統一氏(琉球大)
「『日米同盟の変革』で激変する沖縄・九州の基地問題」
2−2)冨塚 明氏(長崎大)
「『ミサイル防衛』ーその虚構と現実ー」
2−3)木村 朗氏(鹿児島大)
「9.11事件以後の世界と日本の選択」
懇親会 (18時30分〜20時)六文銭(電話:092-712-1536)
10月5日(日)「科学と教育をめぐる現状と課題」
第3部 大学のあるべき姿(9時〜10時30分) 司会:岡本 良治氏(九州工大)
3−1)益川 敏英氏(京都産業大)
「今、大学に何が求められているのか」
第4部 大学の現状と課題(10時40分〜12時40分) 司会:鈴木 右文氏(九州大)
4−1)小早川 義尚氏(九州大)
「九州大の教員人件費管理問題の実情」
4−2)堺 英二郎氏(琉球大)
「琉球大の現状と問題点」
4−3)木村 浩則氏(熊本大)
「国立大学における『公共性の喪失』ー熊本大学の事例からー」
4−4)野中 善政氏(宮崎大)
「運営費交付金削減は国立大学にどのような影響を及ぼすかー宮崎大学財務諸表の分析に基づいてー」
イタリアのギャグ番組
小さな学会(ワークショップ)に参加するためイタリアに来ている.自分の「コマーシャル」(学会主宰者の言い方)の番が終わり,ホッとしているが,直後に質問がなく,ちょっとがっかりしていた.ところが翌日の火曜日,コーヒーブレイクの時,世話人格の人が質問してきた.聞くと,なんたることか,ほとんど分かってもらっていない.別にそれほど難しい話でもないし,周到に準備してじゅうぶん分かりやすく話したつもりだったが,やはりコミュニケーションというのは難しいものだ.スライド*のコピーを持っていたので,それを使って説明する.よく理解してもらえたし,interestingと言ってくれたので,これだけでも大きな成果だ.(写真は会場となったCastiglioncelloのお城,末尾に同業者向け情報へのリンク)-------
話は全く変わって,遡って月曜の夜になるが,ホテルで見たテレビについて.
「ダビンチコード」をちょっとだけ見てチャンネルを変えると(多分RAI UNO),ドタバタ喜劇をやっていた.二人の太った男が,シチュエーションを次から次に変えて,おバカなことを繰り返す.言葉は全く分からないが,それでもほとんど抱腹絶倒.イタリアのギャグのハチャメチャぶりは何段階か上だ.たとえば,イギリスのMrビーンとも違う.日本のテレビ局は何とか輸入してもらえないだろうか.
障害者もギャグのネタになっていた.盲人が飛行機の機内を杖で歩くとき,乗務員の急所をその杖で上向きに叩いてしまうとか,胴体結合の二人の紳士がトイレになかなか入れないので,乗務員がむりやり押し込むと,反対側の壁が抜けて飛行機から飛び出してしまうとか・・・.このように言葉で説明しても全然おかしさは伝わらないとは思うが・・・.
しかしこのようなギャグは日本ではまず無理ではないかと思う.多分ごうごうたる非難が放送局に殺到するだろう.しかしよく考えてみると,その方がむしろ変だと思えてきた.パロディーやギャグは,障害者/健常者という分類で言えば,通常は後者がからかったりコケにしたりする対象になるわけだが,ではなぜ前者はそうならないのか,と考えてみると,その「非対称性」が気になる.やはりこれも,後者が前者を「同じ仲間」と見ないこと,つまり「特別扱い」していることではないか.極言すればむしろこれこそが一種の「差別」ではないだろうか?
問題なのは,つまり表現が下品であったり差別的であったりするのは,対象とするグループが誰か,その属性が何かということではなく,ギャグやパロディーの内容次第ではないのか.また,障害者/健常者の分類にしたところで,だれでも多かれ少なかれ「障害者」なのだと思うが・・・.
その昔,「ゲバゲバ90分」というギャグ番組が一世を風靡した.ハズレが7割くらいだったかも知れないが,ヒットも多く,全体としてはかなり面白かった.あのレベルのギャグがテレビから消えて久しい.
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* もちろんいわゆる「パワポ」.でもみんな「次のスライドは・・・」などと言っていた.
同業者向けのリンク:ワークショップ“DICE2008”のサイト,発表アブストラクト,スライド,同イメージ(字化け対策)
(これは会場特設のネットカフェから)
国立大学を評価する機関の長は,あの悪名高い東京都教委の委員長
国立大学を評価する機関の会議の出席率
4年前に国立大学は「独立行政法人」化され,各大学にこの制度固有の「中期目標」が課されました.その期間の終了を来年度に控え,これまでにも増して,各大学はそのための書類作成に時間を取られることになります.ところでこの国立大学の「成績評価」を実施するのが「大学評価・学位授与機構」という,これまた独立行政法人なのですが,この組織とその運営には大いに問題があります.このことについて,業界内向けに文章を書きました[註]が,一般の皆さんにも知っていただきたいと思い,このブログにも少しだけ書きます.
(註: ミラー,これを紹介した大学問題情報サイト)
この「大学評価・学位授与機構」の審議機関である評議員会の構成を見ると,ほとんどが学長や会長など組織の長が占めているのですが,そのため当然と言うべきか,会議の出席率が極めて悪いのです.一昨年6月から今年の3月までの2年間に開かれた6回の会議のうち4回は出席率が50%以下で,内規で認めた委任状でなんとか成立させているという状況です.メンバーごとに見ると,委員20名のうち8名は(持ち回り会議を除く)出席率が5割を切っています.東大総長や京大総長もこの評議員会のメンバーなのですが,この2人を含む5名は,この間になんと一度も出席していないのです.もしこれが大学の授業なら「履修放棄」で単位ゼロです.(これでも何らかの報酬を受け取っているのだろうかと勘ぐりたくなります.)
次が出欠表です.
http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/UniversityIssues/hyouka/hyogiinkai.html
(→ダウンしている時はミラーサイトへ)
議事録まで立ち入って見てはいませんが,このような出席状況では熱心さ,真剣さが疑われます.
大学評価機関の長は問題人物
評議員会のありかただけでなく,この組織の長も問題人物です.木村孟というのがその人ですが,彼は「君が代・日の丸」強制で悪名高い東京都教育委会の委員長であり(2008年7月17日現在),石原都知事と並んでこの違憲行為,教育破壊行為の最高責任者です.また彼は,全国都道府県教育委員会連合会の会長でもあるので,最近問題となった大分県教員採用汚職事件と全く無関係というわけでもありません.このような人物を長とする機関が,国立大学全体の「勤務評定」をしようとしているのです.
本来業務を妨げる書類の山
またこの「中期目標」というものがどれほど煩雑なものかは,文部科学省のサイトにあるリンク一覧の,バイト数だけ見れば明らかかも知れません(最長は京都大学の649KB).
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/houjin/04042701.htm
仮にこのような種類の文書が必要だとしても,本来の教育・研究に割く時間とのバランスを考えてその分量に節度を設けなければ,むしろ業務の阻害要因になってしまいます.このことは,この仕事に携わる多くの教員が感じているようです.
このような,書類の山を築くことが本来の業務を阻害するという傾向は,小中高などの学校にもあると聞きます.(今問題になっている汚染米流通事件でも,おそらく農水省には,「問題なし」という膨大な調査報告書の山があるのではないでしょうか.)
行政による大学支配
事務量の問題より深刻なのは,すべての国立大学に対する「評価」の作業が,名実ともに文部科学省という行政機関によって行われるということです.これは,メディアと同様,国家や権力からの独立性という,大学が本来持つべき性格を大きく傷つけています.これは国立大学の独立行政法人化以前にはなかったことです.
一部の国立大学関係者は,独立行政法人化反対運動を熱心に行いました.その時,外国の著名な学者からもメッセージを寄せてもらいましたが,そのうちの二人からの文章の一部を紹介しましょう.今もう一度読み返すときだと思います.
以下,国立大学の独立行政法人化反対運動に取り組んだ大学関係者による,新聞意見広告です.上の二人の碩学の文章も掲載されています.また,櫻井よしこさんが2度も登場します.
実際の紙面のイメージデータ
http://www.geocities.jp/houjinka/koukoku_content.html
第四次意見広告のテキスト
http://ac-net.org/dgh/03/701-ikenkoukoku.html
意見広告の会
http://www.geocities.jp/houjinka/
国立大学独法化阻止全国ネット
http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/znet.html
4年前に国立大学は「独立行政法人」化され,各大学にこの制度固有の「中期目標」が課されました.その期間の終了を来年度に控え,これまでにも増して,各大学はそのための書類作成に時間を取られることになります.ところでこの国立大学の「成績評価」を実施するのが「大学評価・学位授与機構」という,これまた独立行政法人なのですが,この組織とその運営には大いに問題があります.このことについて,業界内向けに文章を書きました[註]が,一般の皆さんにも知っていただきたいと思い,このブログにも少しだけ書きます.
(註: ミラー,これを紹介した大学問題情報サイト)
この「大学評価・学位授与機構」の審議機関である評議員会の構成を見ると,ほとんどが学長や会長など組織の長が占めているのですが,そのため当然と言うべきか,会議の出席率が極めて悪いのです.一昨年6月から今年の3月までの2年間に開かれた6回の会議のうち4回は出席率が50%以下で,内規で認めた委任状でなんとか成立させているという状況です.メンバーごとに見ると,委員20名のうち8名は(持ち回り会議を除く)出席率が5割を切っています.東大総長や京大総長もこの評議員会のメンバーなのですが,この2人を含む5名は,この間になんと一度も出席していないのです.もしこれが大学の授業なら「履修放棄」で単位ゼロです.(これでも何らかの報酬を受け取っているのだろうかと勘ぐりたくなります.)
次が出欠表です.
http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/UniversityIssues/hyouka/hyogiinkai.html
(→ダウンしている時はミラーサイトへ)
議事録まで立ち入って見てはいませんが,このような出席状況では熱心さ,真剣さが疑われます.
大学評価機関の長は問題人物
評議員会のありかただけでなく,この組織の長も問題人物です.木村孟というのがその人ですが,彼は「君が代・日の丸」強制で悪名高い東京都教育委会の委員長であり(2008年7月17日現在),石原都知事と並んでこの違憲行為,教育破壊行為の最高責任者です.また彼は,全国都道府県教育委員会連合会の会長でもあるので,最近問題となった大分県教員採用汚職事件と全く無関係というわけでもありません.このような人物を長とする機関が,国立大学全体の「勤務評定」をしようとしているのです.
本来業務を妨げる書類の山
またこの「中期目標」というものがどれほど煩雑なものかは,文部科学省のサイトにあるリンク一覧の,バイト数だけ見れば明らかかも知れません(最長は京都大学の649KB).
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/houjin/04042701.htm
仮にこのような種類の文書が必要だとしても,本来の教育・研究に割く時間とのバランスを考えてその分量に節度を設けなければ,むしろ業務の阻害要因になってしまいます.このことは,この仕事に携わる多くの教員が感じているようです.
このような,書類の山を築くことが本来の業務を阻害するという傾向は,小中高などの学校にもあると聞きます.(今問題になっている汚染米流通事件でも,おそらく農水省には,「問題なし」という膨大な調査報告書の山があるのではないでしょうか.)
行政による大学支配
事務量の問題より深刻なのは,すべての国立大学に対する「評価」の作業が,名実ともに文部科学省という行政機関によって行われるということです.これは,メディアと同様,国家や権力からの独立性という,大学が本来持つべき性格を大きく傷つけています.これは国立大学の独立行政法人化以前にはなかったことです.
一部の国立大学関係者は,独立行政法人化反対運動を熱心に行いました.その時,外国の著名な学者からもメッセージを寄せてもらいましたが,そのうちの二人からの文章の一部を紹介しましょう.今もう一度読み返すときだと思います.
ノーム・チョムスキー教授 (マサチューセッツ工科大学)
「しかしこうした不十分な情報しかもたない私の立場からも,この法案は大学とその教員の独立性を損ない,それらを官僚的決定に従属させるのではないかと思われます.そしてこうした従属は単に日本の高等教育と知的文化にとってのみならず,世界における日本の役割の重要性を考えるなら,世界全体にとっても極めて有害なものです.」
全文(原文も):http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/znet/news/chomsky.html
リチャード・ゴンブリッチ教授 (オックスフォード大学)
「提案をよく吟味してみると,『独立』という言葉はほとんど本当の意味を持たず,予見されるのは政府による中央集権的な支配です.そのような制度はたしかに経済効率を改善し,また行政上の形式を整える事にはなるかも知れませんが,大学に対しては,学問の自由と大学の本質的な役割を危険にさらすに違いありません.」
全文(原文も):http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/znet/gombrich.html
以下,国立大学の独立行政法人化反対運動に取り組んだ大学関係者による,新聞意見広告です.上の二人の碩学の文章も掲載されています.また,櫻井よしこさんが2度も登場します.
実際の紙面のイメージデータ
http://www.geocities.jp/houjinka/koukoku_content.html
第四次意見広告のテキスト
http://ac-net.org/dgh/03/701-ikenkoukoku.html
意見広告の会
http://www.geocities.jp/houjinka/
国立大学独法化阻止全国ネット
http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/znet.html




